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資質向上へ動き出す配置販売業

2007年03月28日 (水)

 2009年から施行される改正薬事法では、医薬品販売における専門家の関与が義務づけられると共に、この専門家には継続的な資質向上のための教育・研修が求められている。この中で既存の配置販売業者については、取り扱い医薬品が限定的ではあるものの、期限のない経過措置として現在の業務が続けられるわけだが、配置販売業の業界団体では販売員の教育認定制度に取り組んでいくという。

 取り組むのは、日本置き薬協会(東京都千代田区、会長河上宗勝氏)。配置業界の業界団体としては全国配置家庭薬協会があるが、これはメーカーと販売業者の双方で構成されている。今回の改正薬事法は販売制度に関するものであり、販売業者による販売業者のための組織が必要、他業界とも「販売」という立場で手を携える必要があるということで05年11月に設立された。その後は小売薬業団体とも連携し、従事者(置き薬販売員)の資質の向上及び確保を担保するための教育制度等を検討してきた。

 今回の「置き薬販売員教育・研修制度」の概要からは、非常にハードルを高く設定した印象を受ける。ある意味で置き薬販売業者は、これまで“野放し状態”ともいえる環境下にあった。数年前には国民生活センターが強引な販売や引き取り拒否など、顧客の新規開拓に当たって悪質な販売・勧誘をする配置薬業者が増え、消費者からの苦情が増加しているとして、消費者被害注意情報を発表している。新たな制度は、こうした状況をいかに改善し克服するかに重点が置かれた。

 資質確保のための認定制度として、協会が「置き薬販売士1級」「同2級」を認定する。2級は主に新入社員で、必要最低限の知識とルール、制度を習得した販売員で、認定試験により2級を取得後は1年以内に1級認定を取得する。1級は医薬品及び保健衛生に関する体系的な資質を確保しており、1級認定者は毎年行われる年次教育の受講が義務づけられる。認定者は認定証(ネームプレート兼用)を装着・携帯し、名刺等で担当者名、連絡先の明記を必要とする。

 また継続教育研修として、年次継続教育研修は通信教育を1カ月、集合教育を2日間とし、試験は通信1回、集合2回を行い、知識習得の確認を行う。集合教育は各地で年2回開催し、いずれかを受講する。年次教育・教育修了者であることを置き薬先の利用者に分かるようにする――など。通信教育については1級は7月から、2級は来年1月からのスタート、年次継続教育は来年度からの実施を目指していく。

 置き薬協会では加盟企業の販売従事者全員にこの教育システムを義務づけ、社会が求める安全と安心の制度づくりに注力していくという。集合教育の中では「全国薬害被害者連絡協議会の方々に講演いただき、従業員一人ひとりが医薬品を扱っている自覚と責任の重さを真剣に考えてもらうことも予定する」という。

 願わくは同協会に加盟する配置販売業者だけでなく、全ての販売員の資質向上だが、こうした教育システムの実現により高齢化の中での地域医療、そしてセルフメディケーション推進に貢献していこうとする動きは大きく評価すべきで、実現を期待したい。



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