ウィンドウズ版を年内公開
総合情報サービス大手のSCSKは、MR向けモバイル営業支援システム「MR2GO」シリーズにウィンドウズ8版タブレット用アプリケーションを加え、さらなるユーザー拡大を狙う。これまでタブレット専用OS版は大手製薬企業を中心に浸透してきたが、ウィンドウズ8版であれば、予算に制約のある中堅企業などでも導入しやすく、MRが携帯するデバイスの集約化にもつながるメリットがある。現在、今年末の公開を視野に準備を進めている。
SCSKは住友商事グループの住商情報システムと独立系システムインテグレーターのCSKが合併して2011年10月に誕生した。
MR支援では携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などマルチキャリア・マルチデバイスで外出先から自社情報へリアルタイムで安全にアクセスできる参照系ソリューション「MR2GO‐SCOPE」を先行リリースした。その後、iPadとアンドロイドタブレット端末に特化したデジタルプレゼンテーション用ツール「MR2GO‐DMV」の提供を開始した。
DMVはコンテンツの最新化がワンタッチで可能なほか、ゲーム業界の技術を転用して操作教育不要の使いやすさや、ページめくりの超高速表示、独自の動画時短再生などを実現しているため、訪問相手との短い接触時間を有効に使える。
利用サービスに応じて課金するSaaS型提供により、希望に応じて機能を選ぶことができる設計になっているのも特徴で、既存のユーザーがシステムに慣れてきて、より高度な利用を求めてオプション機能を追加するケースが増えている。
同社はディテーリング情報を視覚化してマーケティングに生かす「Closed Loop Marketing:CLM」の環境構築のサポートを強化しており、今年初めにはMRが情報提供した相手をタブレット端末に記録してログを収集する機能を実装した。より個々の医師や薬剤師に着目した分析を可能にするツールで、採用が進んでいる。
ユーザー数も着実に広がりを見せており、既にDMVだけで2万人に達している。当初は医薬品メーカーで採用されてきたが、ここ1年は医療機器メーカーや医薬品卸でも実績が出てきた。
ウィンドウズ8版では、現行DMVを完全移植すると共に、プラスアルファの機能を加える。

前列左から佐伯氏、本間氏。後列左から安藤氏、流通システム第二部の坂尾剛史氏、同部の小石澤仁氏
ブランドマネージャーの佐伯伸純氏は「顧客の興味が非常に高まっているのを肌で感じている。われわれが提供するツールはレスポンス面など他社が真似できない様々な性能を持っている。こうした部分をさらに高めることを目指して開発している」と話す。
タブレット専用OS版は、ウィンドウズで構築する社内の業務システムとの連動に制約があったが、ウィンドウズ8版であれば拡張性や親和性が高い点で優れている。
コストやMRの負担といった観点からも期待は大きい。流通システム事業本部営業部長の本間智尚氏は、「PCとタブレットの2台となると、会社の投資も大きく、持ち運ぶ側も効率が悪い。シングルデバイスというキーワードで顧客から要望をいただくことも多く、ウィンドウズ8版は大きなメリットになる」と自信を示す。「機能も性能もさらに強化してデリバリーする。今はiOS版でシェアトップだが、これにプラスしてシェアを伸ばしていくことが最低限の目標」とも述べた。
また、営業部の安藤豪氏は「PCとタブレットを揃える余裕のない企業でも、ウィンドウズ版であれば、PCのリプレイスに合わせて採用していただくケースもあり得るので、市場が広がるのではないか」と見込む。
さらに本間氏は「今年度が本格的な組織融合した元年になる。旧社が双方に持っているテクノロジーをうまくマージし、ノウハウを結集してサービスをリリースしていく」と今後も新たな製品を生み出していく考えを語った。
SCSK
http://www.scsk.jp/