薬局内外でタブレット活用‐24時間のサポートが可能に
アドメディカルグループのバンテージは新潟県、富山県、石川県、福井県、群馬県で30店の調剤薬局を展開している。このうち、富山市呉羽町にある「あおば薬局くれは店」では、地域住民のかかりつけ薬局となるため、処方箋調剤に加え、在宅業務や栄養士による栄養相談、OTC医薬品や衛生用品の豊富な品揃え、24時間体制での患者サポートなどに積極的に取り組んでいる。くれは店の日々の業務において欠かせない存在となっているのが、ズーの「kusudama(薬玉)」。薬局の内外を問わず、調剤薬局が行う業務を、全てタブレットで行える画期的なツールだ。
患者宅へ持参し服薬指導‐カメラを受付や鑑査に利用
2005年に開設されたくれは店は現在、薬剤師2人、事務2人というスタッフ構成になっている。1日に応需する処方箋枚数は平均で40~50枚で、隣接する整形外科・リウマチ科がメイン。地域の内科クリニックや大学病院なども含め、幅広い診療科の処方箋を受け付けているほか、個人在宅の業務も行っている。また同地域には、昔ながらの住宅地が残る一方、新興住宅なども存在しており、来局する患者層は小児から高齢者まで多岐に渡っている。
同店が「kusudama(薬玉)」を導入したのは17年6月で、グループ店舗の中で最も早かった。バンテージで取締役を務める山原裕史氏は「調剤薬局の全ての業務をタブレットで行えるkusudama(薬玉)の機能を体験し、薬局の未来を変える画期的なシステムだと感銘を受け、導入を決めた」と説明。現在は、グループの全30店舗で導入している。
画期的かつ優れた機能を多く備える「kusudama(薬玉)」だが、山原氏は、タブレットであるために持ち運びが可能である点を非常に高く評価する。「薬局の中だけでなく、外でも情報を確認できたり、書面を作成することもできる」とし、「例えば在宅業務において、患者さんの自宅へタブレットを持参し、その場で服薬指導を行ったり、残薬管理や必要事項の記載といった業務ができるので、非常に重宝している」とする。
さらに、「外に持ち運びできるということで、24時間体制の患者さんサポートが可能になっている」と指摘。最近の事例で、「日曜日の夜に患者さんから連絡があり、息切れの症状が出ているので、どうすれば良いかという問い合わせがあった。その際にもタブレットを持っていたのですぐにつなぐことができ、情報確認しながら適切な対応を取ることができた」という。
タブレットのカメラ機能を最大限に生かしている点も優れた特長と言える。▽処方箋全体を撮影することで、処方箋を画像保存できると同時にQRコードを読み込み、患者受付を完了できる▽ピッキングではPTP包装のGS1コードを読み取り、ミス防止に役立つ▽監査時に薬の写真撮影が可能▽会計時、OTC医薬品や雑貨などのJANコードを読み取り、まとめて会計することができる――といった特長を備えており、山原氏は「医療安全の面からも非常に有用」と強調する。実際に、「導入前と導入後を比較すると、インシデントやアクシデントの頻度や質が大きく変わった。患者さんにとっても非常に安心・安全な機能だと思う」と語る。
効率化で対人業務に注力
このように効率化を図ることで生み出された時間を、くれは店では有効に活用し、よりきめ細かな服薬指導の実現につなげている。山原氏は、「今後の薬局は対人業務へシフトすべきという指摘も多い中、地域の中でかかりつけ薬局としての役割を果たしていくためには、対人業務と共に薬局の外へ出て行くことは必須だ。そうした際にも、持ち運びが可能なkusudama(薬玉)は必ず役立つ」との考えを示し、「患者さんに薬を渡した後もフォローしていくことが重要になってくると思うので、業務の効率化を進めていくことで、投薬後の継続した服薬管理という面にも時間を割けるようになると感じている」と話している。
また山原氏は、今後の薬剤師の資質や役割にも触れ、「これからの薬剤師には、薬や病気の知識、対人関係やコミュニケーションを構築するスキルが必要。責任感や経済観念も重要な資質になってくると思う。薬剤師も、どのように医療に貢献していくかを考えていかなくてはならない」と指摘。「薬学的なことを通して、疑義照会や処方提案を実行し、必要に応じて他職種とも連携していかないと、より良い薬物治療はできないのではないかと感じている。こうした面を薬剤師は磨いていく必要がある」と語っている。
あおば薬局くれは店 (ズー)
https://www.emedical.ne.jp/products/kusudama/