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変貌する薬剤師の役割と職能

2022年01月21日 (金)

 新型コロナウイルス感染が再拡大する中、受験シーズンが到来した。15、16の両日、大学入学共通テストが行われ、薬剤師国家試験は2月19日と20日に行われる。全ての受験者には、これまでの努力が報われるよう合格目指して頑張ってもらいたい。

 中央社会保険医療協議会は昨年12月22日、▽革新的な医薬品のイノベーション評価▽国民皆保険の持続性確保の観点からの適正化▽医薬品の安定供給の確保、薬価の透明性・予見性の確保▽その他――において具体的内容を示した2022年度薬価制度改革の骨子案を了承した。

 同日、財務大臣と厚生労働大臣による22年度予算案の閣僚折衝において、診療報酬改定率が合意された。毎度のことながら、大きな財源捻出に薬価改定(引き下げ)分が使われ、今回は約1600億円程度とされている。合意の中で、急遽盛り込まれたのが「リフィル処方箋の導入」である。反復利用が可能なリフィル処方箋を導入することで患者の通院回数を減らし、改定率の0.1%、国費ベースで110億円の財源を捻出する算段だ。分割調剤を含めて導入の検討を続けていく流れだったようだが、財務省の財源捻出ありきの政策による政治決着の色合いが濃い。

 今月14日には中医協で「22年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」がまとめられた。改定骨子は、▽I新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築▽II安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進▽III患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現▽IV効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上――の4本柱で構成されている。

 リフィル処方箋に関しては、I-7の地域包括ケアシステムの推進のための取り組みと、IV-7の医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取り組みによる医薬品の適正使用等の推進で、「症状が安定している患者について、医師の処方により、医師および薬剤師の適切な連携のもと、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設ける」「患者の状態に応じた適切な処方を評価する観点から、リフィル処方箋により行った場合について、処方箋料の要件を見直す」と記されている。

 急に導入されることになり、厚労省も現場も対応に追われることとなった。日本薬剤師会の山本信夫会長は、リフィル処方箋の導入で「薬剤師の担う役割は大きいものがあり、判断や決断が重たくなる」「覚悟を持って取り組まなければならない一大事業になる」との認識を示した。

 薬剤師の主要業務が対物から対人へシフトし、オンライン服薬指導などICTやデジタル化への取り組みも含めて、薬剤師に求められる役割と職能は大きな転換期を迎えたといえよう。迅速、的確に対応することを期待する。



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