手軽なオールインワンタイプが市場を牽引
富士経済は、男性のスキンケア意識の高まりで成長が続くメンズコスメティックス市場と、高単価化に加え、機能性や成分訴求といったスキニフィケーション発想の商品展開が進めヘアケア・ヘアメイク市場を調査し、その結果を「化粧品マーケティング要覧2025 No.3」にまとめた。
主な調査結果によると、男性用のシャンプー・リンス、スタイリング剤、スカルプケア、シェービング料、洗顔料、整肌料、ボディケア用品を対象とするメンズコスメティックスは、リモート会議などで自身の顔を見る機会が増えスキンケア意識が高まったことなどから、近年、市場は成長を続けてきたが、24年は前年比0.3%減となった。同年はメンズ整肌料が好調を維持した一方、規模の大きいメンズシャンプー・リンスやメンズスカルプケアなどが苦戦した。メンズシャンプー・リンスはユニセックスで利用できる女性用シャンプーへの需要流出、メンズスカルプケアは医薬品との競合激化が主な要因となっている。
保湿ケア化粧品(化粧水、乳液、モイスチャー他)、顔拭きシート、メイクアップ化粧品(ベースメイク、ポイントメイク)を対象とするメンズ整肌料の市場は近年、拡大が続いており、特にワンステップでケアが完了するオールインワンタイプの保湿ケア化粧品の需要が旺盛となっている。オールインワンや美容液、モイスチャークリームを含むモイスチャー他カテゴリーは23年に前年比約30%の大幅増、24年も前年比約15%増で市場を牽引している。
保湿ケア化粧品の需要は手軽なオールインワンタイプへ集中しており、手軽さや保湿の訴求のみならず、エイジングケアなどの機能性を訴求したアイテム展開も進んでいる。一方で化粧水や乳液といった単品の保湿ケア化粧品は新規需要の獲得に苦戦するケースもみられている。
ヘアトリートメントのインバストリートメント(家庭用)は近年、ドラッグストアにおいてリンス・コンディショナーに代わってデイリーユースのヘアトリートメントをラインアップするブランドへの置き換えが進み、市場は着実に成長。また、スキンケアにおいて成分訴求が活況であるのと同様に、新規性の高い成分を配合した商品の投入が増加している。
24年から25年にかけてリンス・コンディショナーからの置き換えは一段落したとみられるものの、25年も大手トイレタリーメーカーから1500円以上の商品が投入されており、短期的には単価上昇が市場拡大に貢献していくとみられている。また、トリートメント効果を高めるブースターなどの新たな提案がみられ、使用アイテム数の増加による今後の市場拡大が期待されている。
アウドバストリートメント(家庭用)は、オイル剤型がメインだが、近年は剤型のバリエーションが増えて新規需要の獲得に寄与。また、副次的にヘアスタイリング機能を訴求している商品では、ヘアスタイリング剤からの需要シフトもみられている。24年は剤型の多様化が進み市場が活性化し、なかでもオイルやミルク剤型の商品が好調だった。
今後もヘアスタイリング剤からのシフトが予想されるほか、メーカーによってはプラスワンアイテムとして訴求する商品をインバストリートメント(スペシャルケア)から、アウトバストリートメントにシフトする動きもみられ、市場拡大は続くと予想されている。一方で新商品投入が多く競合が激化しているため、各商品の売上拡大には機能性以外に香りのバリエーションや剤型での差別化が不可欠となっている。
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