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【DDSの現状と展開】第9回 「DDSの医療以外への応用」

2009年6月26日 (金)

1.はじめに

 前回の連載では、「医療現場で活躍するDDS製剤」について取り上げましたが、第9回では 「DDSの医療以外への応用」ということで主に化粧品についてお話させていただきます。

 近年高齢化が進む中、いつまでも若々しく健康で生活をしたいという気持ちは誰もが思うことではないでしょうか。年を重ねても若々しく美しくいられることで心身の健康に与える影響も大きくなります。最近では女性のみならず男性のエステにも人気が高まってきています。

 また様々な化粧品が流通している中、インターネットの口コミ情報などで人気が広まっていく時代ですので、単にイメージやブランド力だけではなく医薬品のように使用してすぐに効果が出てかつ安全であるもの、そしてその効果に対する科学的裏づけが求められてくるのではないでしょうか。 

2.DDSの役割と基礎化粧品への応用

 DDSについては、これまでの連載でもお話してきましたが「必要な場所に、必要な時間、必要な量だけ送達する技術」です。薬は効果が期待できるものほど副作用の心配がありますが、この問題を解決するのにもDDSは役立ちます。薬剤を小さなカプセルに閉じ込めることによって、毛細血管の小さな部分にも入りやすくなり、患部に達してから薬剤を放出することができます。

 当社とロート製薬株式会社との共同研究で開発され、スキンケアに応用したもののひとつにロート製薬株式会社から発売されている「オバジパーフェクトリフトAA」があります。こちらは、レチノールをナノカプセルに封入することによりDDSに応用したものです。レチノールを直径約100ナノメ-トル(1ナノは十億分の1)の炭酸カルシウムの殻に閉じ込めたナノカプセルを世界で初めて開発いたしました。

 下図はレチノールナノカプセルの構造を示したものです。

 

レチノールナノカプセルの構造

レチノールナノカプセルの構造



   ※1ナノメートルとは、1メートルの10億分の1
   【例】地球の10億分の1はビー玉に相当

 レチノールとは、ビタミンAの化学名で純粋なビタミンAのことです。

 脂溶性ビタミンのレチノール(retinol、ビタミンA)にシワやシミに対して効果があることが1986年に明らかにされ、1996年に米国FDAが活性体のレチノイン酸(all-trans retinoic acid)を医薬品として認可しました。レチノイン酸は医薬品成分で、変性した線維を溶かし吸収する作用、新しい線維の合成を誘導する作用があります。ただ医薬品成分なので化粧品には使用できません。その代わり、作用はレチノイン酸より弱いが、刺激の少ないレチノールが認められています。現在では、レチノール含有化粧品が多種類発売されています。

 またレチノールは、ナノカプセル製剤に封入することによってレチノールの安定化が非ナノカプセル製剤よりも3倍以上にもなり、またレチノールの浸透量に関しては20倍以上にもなります。

 空気・光・熱により破壊されてしまうため、これまで配合が難しかった成分も炭酸カルシウムのカプセルに閉じ込めることで有効成分の安定化がはかれます。また、皮膚に刺激を起こしやすい成分も、ナノカプセルに封入すれば刺激が少なく皮膚内への浸透を高めるとともに、有効成分を徐放します。

 下図では、炭酸カルシウムでできたナノカプセルに、レチノールを配合することにより、肌の中まで成分が届き効果が持続する様子を示しています。

 

画像出典:ロート製薬株式会社

画像出典:ロート製薬株式会社

3. 終わりに

 今回はDDSの医療以外への応用の1つの例として化粧品を取り上げましたが、医薬品、化粧品以外の領域でもDDS技術を応用することで従来不可能であった機能や効果も実現できる道を拓く可能性が期待されます。

 次回は、最終回「DDSの将来像」について取り上げます。

連載 DDSの現状と展開




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