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【DDSの現状と展開】第3回 「DDSと医薬開発システム」

2009年2月4日 (水)

1.はじめに

 これまでの連載では、DDSの定義から始まってDDS製剤開発の歴史とその世界市場規模、そしてDDSの3大テクノロジー等について概説し、DDS製剤が治療の利便性や患者のQOL向上に寄与するなど薬物治療の側面から医療に大きな貢献を果たしていることを述べました。それでは、こうしたDDS製剤を開発し世の中に送り出している製薬会社にとって、DDSとはどのような位置づけ、あるいは戦略として捉えられているのでしょうか? 今回は、製薬産業のグローバル化の中で、医薬品開発におけるDDS技術の活用が昨今再び注目されようになってきている理由や背景等について述べたいと思います。

2.医薬品開発でのDDS技術活用の要因

 医薬品開発でDDSの概念が提唱されてから40年ばかりの年月が経ちますが、DDS技術の活用が、主に下記に示す3つの要因から再び脚光を浴びています。その結果、DDSが医薬品開発に大きな比重を占めつつあります。

1)新薬開発のリスク増大

 世界的規模で行われている新薬開発は、従来にも増して安全性や有効性に対する規制が強化されており、医薬品の有用性(有効性と安全性)を実証するため、巨額な研究費用の確保や大規模な臨床試験の実施などが必要です。結果として莫大な研究開発投資が必要となります。このように医薬品開発事業はハイリスク・ハイリターンの情況を益々呈していますので、開発リスクを極力軽減し創薬の成功確率を高めるための手段として、各製薬会社はDDSの製剤技術の活用を重視してきています。

2)高分子量生理活性物質の登場

 従来の医薬品の開発は、低分子量の薬物を中心に発展を遂げてきていましたが、近年、バイオテクノロジーに関する研究の著しい進展に伴って、たんぱく、ペプチド、核酸などの薬物が医薬品開発の対象として新たに登場してきています。これらの高分子量生理活性物質は、本質的にその安定性等に問題がある場合が多く製剤化に特別な工夫が必要ですが、その解決のツールとして、DDS技術の活用が試みられています。

3)特許切れ大型医薬品の増加

 最近、降圧剤や糖尿病治療薬等の市場で、ブロックバスターと呼ばれる大型医薬品の特許切れの問題が大きな話題と関心を集めています。各製薬会社は、特許切れに伴う売上高減少に備えて、製品ライフサイクルマネージメント(PLCM)の一環として次世代の後継医薬品の開発に経営資源を投入しています。このPLCMの有力なツールとしてDDSという製剤技術は、こうした医薬品の事業戦略上にとって不可欠なものと考えられており、様々なDDS技術の開発が検討されています。

3.DDSと医薬開発システム

 DDSは製剤化技術ですので、既に臨床で使用されている既存薬の改良を目的にDDS技術を適用して新たに製剤化された医薬品を開発することはもちろんのこと、望ましい薬効がありながらもその副作用や製剤上の理由で開発を断念した薬物をDDSにより実用化することも可能です。

 一方、昨今ではDDSを組み入れた医薬開発システムを構築して、新規医薬候補物質に対して最適物質を探索する時間を省いて開発初期段階からDDS技術を導入して種々の問題を克服することにより、新薬開発に要する開発期間の大幅な短縮とコストの低減、開発リスクの分散化をはかり製品化・上市の早期実現を目指す開発戦略も有力な方法となっています。その1例となりますが、当社のDDS製剤開発モデルにおける開発初期段階の開発期間については、下図の通り一般的な医薬品開発の場合と比べて短縮化されています。

●図 DDS製剤の開発期間
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 次回(連載第4回)は、「DDSとバイオ製剤(1) 活性たんぱくの化学修飾技術」を取り上げます。

連載 DDSの現状と展開




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