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【医療2.0《医療とWEB2.0》】第3回 相当怪しい医療2.0論?!

2007年10月11日 (木)

 今回は国内サービスを紹介する回だったのだが、先日のコラムに対して、「TOBYO開発ブログ」の三宅氏からご意見・ご批判を頂いたのでそれらへの回答と、私のスタンス・考えを書かせて頂こうと思う。

製薬会社に対しては新薬開発に活用することやマーケティングリサーチのデータ提供、公的機関との共同研究、病院・医師への情報販売などが想定される」とするならば、プライバシー保護関連法規と抵触する可能性がある。違法なのだ。

相当怪しい「医療2.0論」 TOBYO開発ブログ

法制度が制約になる場合、制約は突破されるべき

 個々人の情報をそのまま転売したら、それは現行のプライバシー保護法に抵触するし、おそらく将来のプライバシー保護法にも抵触するだろう。しかし、総体としての情報(個々人の情報の集合)から何らかの傾向を読み取り、それを良い医療の実現に生かすことが出来る可能性はある。

 現行の法制度の枠組みの中で違法だからと出来ることを限定してしまうという思考は、未来予想にとって制約になり得る。特に、新しいテクノロジーによって大きく世の中が変わろうとしている時、往々にして法制度はその流れに追いつかないものである。法制度が制約になるのだ。

 私はお役所の人間ではなく、起業家だということもあり、未来予測をする場合、法がどうなっているかではなく、ユーザー視点で物事を考える。法が制約になって良い医療が実現できないでいるならば法を変えよと働きかけるだろう。法のみならず良い医療の実現のための制約があるのならば、それをどう突破していくかを考えるだろう。自分がどうしたいではなく、自分の利益がどうこうでもなく、ユーザーとのコミュニケーションによって感じ得た思いの集合体、ある種の意志の媒介者として、サービスをより良い方向へと育てていくだろう。

 ユーザーが自分の健康に関する情報を蓄積し、それを専門家に開示することで病気になるリスクが減ったり、より長生きできるのであれば、そしてそれをユーザーが望むのであれば、もはやそこに、法律がではダメだからダメという議論を持ち込むのはナンセンスである。

1.0か2.0ではなくユーザー価値を見つめる

 ここでは『RevolutionHealth』が2.0かどうかという議論はしていないし、「コマンド・コントロール」云々の話も書いていない。そんなことはユーザー価値にとってどうでも良いことだ。ユーザーはそれが有益か・便利か・楽しいか・という視点でサービスを評価する。そこに1.0も2.0もない。ユーザーはそれを使いたいと思ったら使うし、使いたくないと思ったら使わない。ただそれだけだ。

 使われる機能が残り、使われない機能は淘汰されていく。最初がどうであれ、2.0的な機能が受け入れられるのであれば2.0的なサイト(個人医療情報ベース)へと成長していくのであろうし、1.0的な機能が受け入れられるのであれば1.0的なサイト(医療情報メディア)へと成長していくであろう。前者であれば、実現可能性は未知数という表現を用いたが、PHRとオーバーラップする部分は出てくる可能性はあると思う。サービスの設計思想やその拡張性の部分に可能性が読み取れる場合、当コラムは今どうであるかを述べるのみならず、未来予想であるから、未来にこうなっていくだろうなぁ、こうなっていけばいいなぁということを書いていく。

 タイトルが 『医療2.0《医療とWEB2.0》』なので全て2.0的なサービスの紹介・2.0賛美となっていると勘違いなされたのだとしたら申し訳ないが、私は2.0至上主義者ではなく、ユーザー価値至上主義者である。そして、可能性を限定する傾向のある現実主義者というよりは理想主義者、楽観主義者(オプティミスト)である。

 当コラムでは、新たなユーザー価値が創出されている場・創出されていくであろう場・制約が突破されていく流れを中心に紹介したいと考えている。そこには、先進的なテクノロジーや今までにない工夫がその場にはあり、その中心にはWEB2.0的なテクノロジーが確かにある。しかしWEB2.0的なモノが構成要素の全てではない。また、1.0的なモノでも2.0的なモノでも、良い面と悪い面があると思うが、良い面にスポットを当ててその可能性を追求し、イメージを膨らませて行きたいと思う。そのイメージの中に私の実現したい未来やステキな未来があるからだ。そういうスタンスで今後もコラムを書かせていただくのでどうかその点はご容赦頂きたい。

次に、このコラム「医療ポータルという分野における新サービス(1)」には医療関連サイトのアクセスランキングが載せられている。これを見て、「どこかで見たリストだ」と思った。なんのことはない、以前、「当方ブログで出し >たリスト」と同じものだ。しかし出所も調査期間も明らかにされておらず、その上ご丁寧に、数字を四捨五入までしているではないか。

相当怪しい「医療2.0論」 TOBYO開発ブログ

データに関する考え方

 実は、痛烈な批判を頂いている三宅氏のブログも参考にさせて頂いているソースの1つだ。非常にクレバーでデータ・事例も豊富で、中には欧州のサービスも紹介されており、スゴイなぁといつも思っている。そういうこともあって、今回の“パクリ”のご指摘や個人攻撃的な批判は少し残念だった。

 ところで海外を中心に100以上のブログ・ニュースサイト・各サービスそのものが私のソースであるが、ソースのデータを妄信することはなく、時事的なデータに関しては出来る限り自ら調べようと考えている。今回私が示したデータに関してはAlexa( www.alexa.com )というトラフィックランキングサイトや各サービスのHPを参考にさせて頂いた。

 Alexa自体は必ずしも正確なデータを提供してくれるサービスではないのだが、だいたいのアクセス数の動向や相対的な利用者数比較を行うには便利なサービスである。そして今回の分析に関してはそれで十分だと思っている。

 競争の構図や利用者数は1年もすれば大きく変わるだろうから、大雑把な数字の把握が出来ていれば私はそれでいいと考えているのである。その点で同氏とはスタンスが違う。

 また、収益モデルに関しては、どういう収益構造になっているかというフレームワークを考えることが重要だと考えているため、そのようなスタンスで収益ポテンシャルに関するシミュレーションを行っている。結果としてどれくらいの規模の市場かということが分かっていただければそれでいいのだろうと考えている。

最後に

 オピニョンリーダーに「相当怪しい医療2.0論」とばっさり切られてしまっては、なんだか切なくなるので、私の考えを述べさせていただきました。PHRに関しては正直まだまだ勉強が足りず、少し怪しい医療2.0論と言われても仕方のない面もありますが、しっかり学んで行きたいと思います。今後とも当コラムをよろしくお願いいたします。そして、三宅さん、新サービス成功されるよう是非とも頑張って下さい。私も含め、期待している方は多いと思います。

参考までに ⇒医療2.0コラム著者(宮川耕)の経歴


ホスピタリティアライアンス代表取締役
TOCコンサルタント    宮川 耕

医療2.0《医療とWEB2.0》

連載 医療2.0《医療とWEB2.0》



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