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【医療2.0《医療とWEB2.0》】第9回 新年のごあいさつ

2008年01月15日 (火)

 明けましておめでとうございます。まずはお詫びを。年末に多忙を極めていたため、更新が滞っておりました。また、本年度も年始から忙殺されております。嬉しいことではあるのですが、事業家と作家の両立は大変だなぁというところでして。今後はちょっとした時間を使ってこまめに更新していこうと思います。

 さてさて。正月実家の大阪に帰ってコラムのこと・日本のこれからのこと・自分のこと、あれこれ考えていました。ただ消費されるだけの情報を作っても仕方がないし。自分は何が書きたいんだろうと自問自答していたのですがようやく書きたいことが明確になってきました。

  • 私は業界通ではないので、業界についてああだこうだという記事は期待されていない。
  • 記事の収集力という点でも大手媒体には遠く及ばない。
  • 小難しい理想論を語っても、出来ることしか出来ない。行動に繋がらないなら価値は0。

 評論家・アナリストではなく、事業家視点で分かりやすく書こう。また、新たなチャレンジをやろうと考える人が、私や各種失敗談から抽出した思考をトレースしていただくことで、今後の行動ベクトルがより、有益な方向へと変わることが期待できるものを書こう。アクションに繋がる情報を心掛けよう。どこまで出来るかは分かりませんが、頑張ります。本年もよろしくお願い申し上げます。

本年度第一弾のサービスご紹介

スタイリッシュでユビキタスな健康管理サービスを提供する「ソフトバンクリブラ」

 リブラ、リブラ・・・ライブラ。ファイナルファンタジーという有名ロールプレイングゲームで相手の弱点や強さを見抜く魔法の名前が「ライブラ」だったなぁなんて思いながら、昨年末に取材に行って話を伺ってきました。実際ライブラだったわけですが、今年度最初の記事では「ソフトバンクリブラ」の「ライフキャリア」というサービスをご紹介したいと思います。

 ソフトバンクリブラが提供するサービス「ライフキャリア」が何をライブラするかというと人間の健康状態のデータ。モバイルと血圧計等を連携させてあらゆる角度から自分の健康状態を把握することが出来ます。Information Visualization(情報の視覚化)によって、グラフでビビッドに自分の状態が分かりますから、健康マニアにはたまらないサービスかもしれません。

 特保(特定保健用食品)の市場が急激に拡大したり、通販では「ビリーブートキャンプ」「ロデオボーイ」が大ヒットを飛ばしたり。昨年最も伸びたのは健康産業?!と言えるくらい一大トレンドとなりましたが、ここには効果の測定という概念がなかった。

 全ては「これ、効いたかも」「あの健康食品はとても良いらしいよ」「みのさんが言ってたから」「メタボ対策になるって書いてあったから」といったモノが購買要因となって、商品の購買行動が取られていたように思います。リピーター化するかどうかも健康増進に効果があったかどうかは実際のところ良く分からない。でも「なんとなく」良さそう・・・とても感覚的だというケースが多かったのではないでしょうか。

 実際、みのもんた氏が紹介した食材は一時的に飛ぶように売れるそうです。しかし、ある人にとって良い方法も、違う人にとっては良い方法ではないかもしれない。自分の弱点を知り、それに応じたライフスタイルや食生活を心掛ける、モニタリングしながら、改善を行っていく。受験勉強でも模試を受けて偏差値を知り、今自分がどれくらいの学寮水準にあるか、どの分野が苦手かというのを知り学習プランを立てますし、企業活動でも測定の専門会社(リサーチ会社や、BIを提供している会社など)がありますし、測定というのはカイゼン(この場合は健康増進)にとって非常に重要な意味を持ちます。

 そういうことにチャレンジしようとしているのがライフキャリアで、うまく行けばありとあらゆる健康データを気軽に測定できるようになるかもしれません。

収益モデル

 ソフトバンクリブラは、ソフトバンクテレコムとひまわり生命が共同出資して立ち上げた合弁会社(出資比率は90:10)なのですが、生命保険会社の資本が入っているというのが面白いですよね。

 ライフキャリアを利用することで それによって健康増進意欲を刺激することが可能になるならば、支払う保険金の額が減るはずだ。とするならば一緒に組んでサービスを広めることには価値はあるということなのでしょう。

 医療経済学の分野では保険に入ることは、偶発的に生じるリスクが経済的に与えるダメージを平たん化する代わりに、保険に入っていることによってモラルハザードを起こすという悪い面もあるという風に論じられることが多いと思うのですが、保険会社が提供するべき付加価値が、そもそも大数の法則によってある程度一定だと推測される偶発的に生じるリスクを軽減させることですよ。ということになれば、これは画期的かなぁという気がします。

 当然そうなれば保険会社が支払う保険金は減りますし、保険料を安くするということも可能になるかもしれません。

 現在のところ、ひまわり保険の保険者に対してトライアル的にサービスを提供するというところに注力されているようですが、ここで有意な結果が出れば、今後利用したいという人が急速に増える可能性もあります。

 エンドユーザー課金(月額2680円04640円)の収益モデルなので、キャズムを超えられるかなぁという感覚はあり、マスに打って出る戦略を取った場合、サービスを普及させるのは難しいでしょうが、BtoBで会員を持っている企業、スポーツジムなどと提携関係を作ったり、福利厚生の一環として提供するような営業戦略で展開すれば、結構いけるんじゃないかなと個人的には思いました。

ライフキャリアWEBサイト
http://life-c.softbanklibra.co.jp/


≪執筆≫
ホスピタリティアライアンス株式会社
代表取締役 宮川 耕

医療2.0《医療とWEB2.0》

連載 医療2.0《医療とWEB2.0》



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