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【医療2.0《医療とWEB2.0》】第7回 ミッション「3000万円を元手にメディカル分野で1000億企業を立上げよ!」 3

2007年11月30日 (金)

 前回ミッション第6回 ミッション「3000万円を元手にメディカル分野で1000億企業を立上げよ!」 2の続きです。

いくら規制を行おうと患者が情報武装するのは時間の問題

 しかし、厚生労働省の意図に反して、誰もがWEBを通じて多面的な情報収集・情報発信を行えるようになり、パワーシフトが起きつつある流れの中で、もはや意図的に情報開示を行わないということは不可能になってきています。情報開示をせずとも、患者は情報武装するでしょう。患者が情報弱者であっても、患者の家族が。患者の友人が。情報武装を助けます。とするならば、どういう形で情報が流通するのが最も社会(大衆)にとって良いのか、製薬企業、医師(病院)、薬剤師(薬局)、各ステークホルダー間のバランスをうまくとって有効に機能する情報開示の仕組みはどのようなものか。ここに目を付けて着々と準備を進める事業家が数年後に1000億企業を創る可能性があります。

 おそらくそれはWEBを最大限に活用したものになると思いますが、ここで課題となるのは既存のプレイヤー達と親和しながら急激に成長するビジネスモデルをどう構築するかという点。既存プレイヤーと利害対立を起こさず、すんなりと入っていくことが出来なければ小資本の企業はプチっと潰されるでしょう。

 様々な観点から考えた結果、成功事業が生まれるとするならばその事業が狙う市場は「DTC広告市場」であり、今は50億円程度と低い市場を開拓し拡大させていく「事業家のチャレンジ」が必要で、それは「WEB」を活用することによって生まれるという考えに至りました。以下でそのような考えに至った思考の過程を記述したいと思います。

図

 DTC広告を出す広告主としては製薬会社・医療機関が考えられますが、ここでは製薬企業を中心に考えたいと思います。

 さて。上記の図は患者数と疾患名に関する図ですが、例に挙げた糖尿病は患者数が多く、また慢性的な病気なので一人当たりの医薬品購入単価も高い。さらに患者数が増加傾向にありますから、製薬企業にとってはとても魅力的な市場だということになります。

 従来の大手製薬企業はこのような魅力的な市場(ブロックバスター領域)に対して莫大な研究開発費を投じて新薬開発・大量のMRを活用したパワーマーケティングを行ってきました。しかし、患者数の多い市場は大抵開拓し尽したか、あるいは魅力的な市場であるため競合も多くレッドオーシャン化してきた(競争が激しいため利益率も低くなる)ために、世界最大の製薬会社ファイザーをはじめ、戦略を大きく変更し、患者数はまぁまぁいるが競争が激しくないミドル、あるいはアンメットメディカルニーズと呼ばれる、有効な既存薬がない分野へとシフトしてきています。

 また、オーファンドラッグと呼ばれる、国内での患者数が5万人未満の稀な疾病を対象にした「希少疾病用医薬品」の開発を目指す動きも大きくなりつつありますし、このようなチャレンジを支援すべく、助成金や優先審査などの手厚い各種支援処置(参照:Wikipedia希少疾病用医薬品)も整備されてきました。また、新たに、治験のアウトソーシングを担うCRO等を活用したファブレス製薬企業も生まれています。

 コンセプチュアルに説明するとこうなります。一気通貫の垂直統合型のバリューチェーンにおけるボトルネックがレイヤーマスター型のプレイヤーによって解消され、より効率的な業界構造が生まれてきている。こういうバリューチェーンが分解され新たなプレイヤーが生まれてくる脱構築の流れをボストンコンサルティンググループ(BCG)ではデコンストラクションというコンセプトで説明するようです。ちなみに、内田氏は元BCGの日本代表だった方なのですが、現在は早稲田大学の教授をされており、私も学生の頃に講義を受けたことがあります。デコンストラクションというコンセプトは経営戦略を考える上で非常に有効なコンセプトですので、興味のある方は是非同氏の著書を読まれると良いと思います。きっとパズル感覚でビジネスを眺めることが出来るようになるはずです。(参照:『デコンストラクション経営革命』内田和成

 次回に続く


ホスピタリティアライアンス代表取締役
TOCコンサルタント    宮川 耕

医療2.0《医療とWEB2.0》

連載 医療2.0《医療とWEB2.0》



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