厚生労働省は、19日付で承認した非小細胞肺癌治療薬「タルセバ錠」(一般名:エルロチニブ、中外製薬)について、院外調剤を受ける外来患者に対しては、処方医療機関が、間質性肺炎など重篤な副作用が現れるおそれがあることなどの注意事項を記載した「タルセバ錠治療確認シート」を手渡し、保険薬局は同シートを所持している患者に調剤するという安全対策を講じることにした。間質性肺炎による死者が相次いだ抗癌剤「イレッサ」の教訓を踏まえた安全対策。
厚労省が同日付で承認した新薬のうち、重篤な副作用など特に使用上注意が必要な薬剤について、都道府県宛に注意喚起を求める通知を発出したしたもので、医療機関や薬局に対し指導するよう指示した。
タルセバは、ヒト上皮増殖因子受容体(EGFR/HER1)のチロシンキナーゼを阻害する分子標的型の抗癌剤。国内治験では、間質性肺炎により死亡したケースもあることから、通知で添付文書の警告内容などを注意喚起した。
この中で手渡すことを指示した「タルセバ錠治療確認シート」では、処方前に患者・家族に対し有効性のほか、間質性肺炎の初期症状や死亡に至ったケースがあるといった危険性を含め十分に説明し、投与に同意を得ることが必要な薬剤であることなどが記載されるものとみられる。
医師、患者双方に注意を喚起し、調剤する薬局でも確認することで、適正使用につなげたい考えだ。シートを持っていない患者に対しては「本剤の有効性及び危険性について説明を行うと共に、本剤を処方した医療機関名及び医師名を、製造販売業者に連絡すること」と指示した。シートは現在、中外製薬が作成を進めている。
そのほか19日付の通知では、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞)の効能・効果を追加した「プラビックス錠」(硫酸クロピドグレル:サノフィ・アベンティス)、遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤を取り上げ、注意喚起した。
プラビックスでは、血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症、重篤な肝障害などが発現していることから、「投与開始後2カ月間は2週間に1回程度の血液検査等の実施を考慮すること」などについて改めて注意を促した。
アルブミン製剤「メドウェイ注」(三菱ウェルファーマ)、「ステム注」(バイファ)は、ピキア酵母により産生・精製された製剤であるため、ピキア酵母抗体の陽性者にはアレルギーが起こるおそれがあることから、投与前には抗体検査を実施し、原則として陽性患者への投与は避けることなどを改めて注意を促した。
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