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【バイオベンチャーを探る1】レクメド

2014年12月10日 (水)

希少疾患薬を自社開発・販売‐売上500億円を目指す

松本正社長

松本正社長

 東京都町田市に本拠を置くレクメドは、5月に希少疾患のホモシスチン尿症治療剤「サイスタダン原末」(一般名:ベタイン)で初上市を果たした。今後は、サイスタダンでホモシスチン尿症患者の掘り起こしを進めると共に、開発中の植物由来の半合成物質「ポリ硫酸ペントサンナトリウム」でHTLV‐1関連脊髄症(HAM)や間欠性{足+皮}行、変形性膝関節症の適応を取得し、最大化を目指す。松本正社長は「将来的には、売上500億円を目標としたい」と語った。

 同社は、1998年に設立し、製薬企業やバイオベンチャー向けに創薬戦略立案を支援するコンサルティング事業、医薬品開発事業の二つが柱となっている。

 第1号製品となった「サイスタダン」は、厚生労働省による「未承認薬使用問題検討会議」で認定されたホモシスチン尿症治療薬。開発に名乗りを挙げる製薬企業がない中で、レクメドが手挙げを行い、国内治験を実施。今年5月に薬価収載され、新発売した。

 ホモシスチン尿症は、国内患者数は「40~80人くらい」(松本氏)と、希少疾患の中でも患者数が少ない“ウルトラオーファン”だ。これまでは治療法がなかったため、純度98%のベタイン試薬を適応外使用として投与しているのが実態だったが、純度100%のサイスタダン原末が承認されたことで切り換えを進める方向。松本氏は「早期に治療できるようにしたい」と話す。

 1型・2型・3型と疾患タイプが三つに分かれてそれぞれ治療法が異なるため、現在、松本氏がホモシスチン尿症患者を診療する医師一人ひとりを訪問し、サイスタダンの治療法の説明を行っている。実臨床エビデンスを集積すると共に、ホモシスチン症の疾患啓発を進め、患者掘り起こしを行う。

 サイスタダンで希少疾患の実績を上げ、開発段階にある「ペントサン」で、事業を成長の道筋をつくる。ペントサンは、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV‐1)感染T細胞の脊髄内浸潤を抑制し、HTLV‐1関連脊髄症であるHAMへの効果が期待されている。今年度中には長崎大学で第II相試験を開始し、来年には試験を終了させる計画だ。

 松本氏は「まずは年商10億円レベルにしたい」と述べ、ペントサンの最大化に期待をかける。HAMの次は、海外で独パートナー企業が開発中の間欠性{足+皮}行だ。患者数は1~2万人とHAMの3000人に比べても、事業上のインパクトも大きいとみる。さらにその先には、ペントサン事業の本命に位置づける変形性膝関節症という頂への到達を目指す。「ここまで承認が取れたときに、われわれが目標とするのが売上500億円」と話す。

 自社シーズは持たなくとも、研究機関やバイオベンチャー、CROとの外部ネットワークを活用した医薬品開発が強みだ。松本氏は「サイスタダンの上市で、ベンチャーでありながら臨床開発・薬事・販売といった経験ができた。コンサルティング事業にも生かせる」と語る。シーズよりも患者ニーズを重視し、「コンセプト」「コーディネーション」をキーワードに、アンメットニーズな疾患に挑む。

レクメド
http://www.reqmed.co.jp/


この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2014年10月31日号に掲載された記事です。

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