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【バイオベンチャーを探る1】オンコリスバイオファーマ

2014年12月10日 (水)

ウイルス療法で癌に足跡残す‐臨床開発品目は3品目へ

浦田泰生社長

浦田泰生社長

 オンコリスバイオファーマは、ウイルス学に立脚した創薬アプローチを強みに、「癌」と「重症感染症」の新薬開発に挑んでいる。抗HIV薬「OBP‐601」は、開発パートナーを選定し、来年にも第III相試験を開始する予定。癌領域では、遺伝子組み換え5型アデノウイルス「テロメライシン」が第I/II相試験を実施中で、11月にはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤「OBP‐801」の米国治験申請を行った。臨床入りした開発パイプラインが3品目となり、浦田泰生社長は「抗エイズ薬で早期事業化を成し遂げ、“癌のウイルス療法”で足跡を残したい」と話している。

 同社は、臨床試験でヒトでのPOCを取得後に、製薬大手への導出を目指すライセンス型創薬バイオベンチャー。2013年12月に東証マザーズ市場に上場した。

 最も先行する開発品目の「OBP‐601」は、米イェール大学から導入した逆転写酵素阻害剤。10年12月に米ブリストルマイヤーズ・スクイブに開発・製造・販売権を導出する契約を結んだものの、今年4月に提携解消した。

 ただ、浦田氏は、「ブリストルの開発戦略の一環によるもので、有効性・安全性には自信を持っている」と強調。後期第II相試験の結果にも触れ、「HIVウイルスに感染した患者の約9割で、抗ウイルス活性を示した」と話す。

 さらに、「OBP‐601は抗エイズ薬として世界で30番手以降の投入となるが、現在、通常診療で使われている薬剤はわずか6種類程度にとどまる」と述べ、薬剤耐性のあるHIV治療では必要性の高い薬剤との認識を示した。現在、積極的な導出交渉を行っており、来年の第III相試験開始を目指す。

 癌のウイルス療法のPOC取得を急ぐ。テロメライシンは、手術、放射線・重粒子療法に続く“第3の局所療法”で、癌細胞にだけ増殖するウイルスを局所に注射し、正常細胞を傷つけずに、抗腫瘍効果を発揮する。ウイルス増殖を止める感染症治療薬とは真逆のアプローチで、中国と台湾で肝細胞癌を対象とした第I/II相試験、国内では岡山大学で食道癌などを対象に放射線との併用療法で臨床研究をスタートした。

 癌領域では、治療薬だけでなく、検査薬にもアデノウイルスを応用し、実用化を狙う。検査用ウイルス「テロメスキャンF35」は、クラゲの発光遺伝子である緑色蛍光発光遺伝子(GFP)をテロメライシンに組み入れると共に、正常な血球細胞で増殖抑制するマイクロRNA標的配列、35型アデノウイルスのウイルスファイバーを導入し、血液を循環する癌細胞だけを光らせるというもの。外科手術後に微小な癌を探し当てることができ、再発・転移リスクを最小限にする。癌患者に適した抗癌剤を選択するコンパニオン診断薬にも応用できる可能性がある。今年12月には韓国企業とライセンス契約を結んだ。

 そのほか、来年米国で臨床入りする「OBP‐801」は、注目が集まるエピジェネティック分野のHDAC阻害剤。他社がリンパ腫適応で承認を取得する中、「他剤との併用でリンパ腫だけでなく幅広い可能性を追求する」との戦略を描く。

 難病治療に寄与するとの事業ビジョンを掲げ、創業10年目を迎えた。浦田氏は、「癌・重症感染症に加え、来年には国内未承認の希少疾患薬を導入し、国内での開発に着手したい」と意気込む。

オンコリスバイオファーマ
http://www.oncolys.com/


この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2014年12月5日号に掲載された記事です。

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