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【インターネット薬事法】第12回 インターネット販売と薬事法

2008年01月30日 (水)

 前回までは、インターネット上のさまざまな広告媒体と検索サイトを中心に紹介してきました。今回からは、インターネット上にあるさまざまな広告を見て商品を購入する場合の留意点を具体的に紹介していきたいと思います。

 皆さんは、インターネットで買い物をする場合、何を根拠に商品を選択するでしょうか?購入する販売サイトが大手であるという事実でしょうか?それとも購入しようとしている商品が雑誌で取り上げられているという実態でしょうか?口コミでしょうか?残念なことに、これらの参照情報の全てが根拠になりうるとは言えません。なぜなら、インターネット上の情報はいくらでも作り出すことが出来るからです。「ニセの情報」でも本人が気付かない限り「真実の情報」になります。また、厄介なことに、「ニセの情報」以外の情報はインターネット上では収集できないこともあります。このような場合、「ニセの情報」が、いわゆる「一般の情報」になります。インターネットの上で「正しい」ということを定義するのは容易なことではありません。つまり、インターネット上では常にリスクが伴うといっても過言ではないのです。

 一方で、インターネットではなく店舗で、実際に商品を手にとって購入する場合はどうでしょうか?たとえば、化粧品の場合、全成分表示が義務付けられています。つまり、商品そのものの広告以外の情報(法定表示など)で少なくともインターネット上よりは客観的に判断することが可能です。化粧品における全成分表示の義務化により、過去に自分がアレルギー反応を起こした成分の名前を知っていた場合、次回の商品購入時には、そのアレルギー成分を避けて購入することを心掛けられます。これはリスクマネジメントを法定表示で担保している一つの実例です。

 そもそも、薬事法の規定では、商品が法律の要求する適正な販売経路で流通し、消費者の手元に到達していると仮定すれば、理論上、安心して商品を得ることができます。それは、薬事法において「製造業」と「販売業」の間で、「製造販売業」という業許可(法定上の根拠)が存在しており、商品における「製造」から「販売」までの品質、有効性、安全性を管理監督により補完しているからです。


(*)【製造販売業の定義:薬事法第2条12(定義)】この法律で「製造販売」とは、その製造等(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない。以下同じ。)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品又は医療機器を、それぞれ販売し、賃貸し、又は授与することをいう。

 しかしながら上記の許認可関係におきまして、「販売業」は、「作用が緩和」という定義に分類される化粧品や医薬部外品、一部の医療機器に関しましては、法律上、業許可を要求されておりません。つまり、インターネット上で、品質管理されていない化粧品や医薬部外品が適正な販売経路によらないで市場に出まわることも理解できます。

 また、根本の問題において、作用が緩和であるといわれる化粧品・医薬部外品ですら、人の体にとっては基本的には「異物」です。人には当然、化学物質に対する反応の個人差もありますし、アレルギーを起こす人もいます。このような前提の中で、大衆に向けて同じ処方を大量にリリースする販売者はリスクマネジメントが当然必要になりますが、消費者は販売者以上に慎重に、商品選択の際の判断基準となる「真の情報」を備えておく必要があります。

 もちろん、「真の情報」は購入者自身で集めるしか方法はありません。

 インターネットで商品を購入する場合は、以上の様な法による規制範囲・販売の仕組みの基本的内容を十分に検討する必要があります。そして、その根拠は現在運用されている薬事法にあります。

 現在の法律の仕組みを少しずつでも理解することが、インターネットにおける正しい情報選択への一番の近道かもしれません。


薬事法対策ホームページ研究室

吉田法務事務所代表 吉田武史
http://yakuji.net/

ノーブルウェブ代表取締役 松原伸禎
http://www.nobleweb.jp/


連載 インターネット薬事法



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