前回はインターネット広告の概要をお話しました。インターネット広告と薬事法の関連は密接でありながら、明確な統一ガイドラインが存在しません。現状は各ネット広告会社が独自に設けたガイドラインを設けて表記の審査を行っています。今回より具体的に企業を挙げ、その取り組みをご説明したいと考えています。
●Yahoo!ビジネスエクスプレスの場合
ヤフービジネスエクスプレスとは「企業、団体、個人事業主が運営するサイトが商用目的のサイトとしてYahoo!カテゴリに登録できるかを審査し、結果をメールにて返信する有料サービス」です。
ヤフーは国内で最大級のポータルサイトであり、このサービスを利用することで、ヤフーへの登録可否を審査され、審査に通れば無事登録サイトと認定されます。サーチエンジンの検索結果の上位に表示されるアドバンテージを得ることができるため、SEO(検索エンジン対策)としては必須ともいうべきサービスです。
サービスの利用について、通常のサイトは52,500円(税込)の審査料金がかかりますが、特定のジャンルに限り、審査料金が通常の3倍の157,500(税込)がかかります。注目すべきはその特定ジャンルの中に
・健康食品、健康用品に関するサイト
・スキンケアに関するサイト
・育毛、増毛に関するサイト
が含まれていることです。あくまで審査料金ですので、その内容などによって確実に掲載される保証はありません。上記ジャンルは特に薬事法に関する表記がポイントとなり、ヤフーは独自にその審査基準を設けています。
Yahoo!ビジネスエクスプレス審査基準 http://bizx.yahoo.co.jp/checklist.html
健康食品、健康用品に関するサイトの審査基準 http://bizx.yahoo.co.jp/checklist.html#point15
薬事法に関係するホームページにとって、確実に掲載される保証もない上、高額な審査料金がかかるこのサービスは非常に敷居の高いものがあります。販促を目的としたPRの場でも、健康食品の宣伝文句がほとんど使用できないといった状態に陥るケースも見られます。
しかし、ヤフーの立場からすればある程度高いハードルを設けておかないと、薬事法表記に違反するサイトを自らの手で宣伝してしまう事にもなりかねません。ある種の自己防衛、「疑わしきは罰する」というスタンスであると考えられます。推敲を重ねた上で申請しても、ヤフーの審査基準に抵触すれば登録はされません。サービスを利用する際は専門家に相談するなど、事前に注意深くホームページの表現を確認するべきでしょう。
連載 インターネット薬事法
- 第21回 2009年度インターネット薬事法連載再開!
- 第20回 街なかでピル販売。規制が駆け込み寺を生む。 [緊急情報]
- 第19回 薬事における流通の落とし穴 [緊急情報]
- 第18回 あなたが見ている情報に偽医者はいませんか? [緊急情報]
- 第17回 未承認薬販売と個人輸入の裏表 [緊急情報]
- 第16回 広告違反で人が死ぬ [緊急情報]
- 第15回 輸入化粧品からステロイド検出。 [緊急情報]
- 第14回 カラーコンタクトレンズ、ついに規制。 [緊急情報]
- 第13回 インターネット広告の真偽
- 第12回 インターネット販売と薬事法
- 第11回 ネット広告会社の取り組み(3)
- 第10回 ネット広告会社の取り組み(2)
- 第9回 ネット広告会社の取り組み(1)
- 第8回 普及するインターネット広告と薬事法
- 第7回 インターネット商取引と薬事法
- 第6回 薬事法の基礎 3
- 第5回 薬事法の基礎 2
- 第4回 薬事法の基礎 1
- 第3回 今こそ正しい情報を 2 [緊急掲載]
- 第2回 今こそ正しい情報を [緊急掲載]
- 第1回 はじめに
- 執筆者紹介 吉田武史氏
- 執筆者紹介 松原伸禎氏
- 「インターネット薬事法」連載開始!