ここ数年でインターネット広告費は爆発的な伸びを見せ、その中でも特に検索連動広告やコンテンツ連動広告、モバイル広告などが高い注目を浴びています。現在ネットへの接続時間はテレビ以外のメディア(ラジオ、新聞、雑誌)を超えてきており、携帯電話などのモバイル環境からのネット接続の普及を考えると、今後もネットに接する時間は増加していくと予想されます。
ネット広告の多くは、バナーやテキスト、動画、企画広告を含む「ウェブ広告」と呼ばれるもので、接続回線が高速化した影響で、ビジュアル的にも様々に工夫を凝らした広告を目にする機会も今後増えていくでしょう。
医薬品や健康食品やサプリメントの広告の数も多いですが、それらのすべてが果たして薬事法を遵守しているかと言えばそれは非常に難しい問題で、薬事法遵守の責任はその広告を掲載する側、ネット上のショッピングモールや広告企業に依存している部分が多分にあるのではないかと考えられます。
ではショッピングモールや広告企業のネット広告に関する取り組みに足並みが揃っているかと言えば、明確な基準がないことから各企業ごとに専門家にコンサルティングを依頼するなどして広告掲載ガイドラインを設けており、それさえ行っていない企業についてはその対応の甘さが指摘されかねない状態にあると思います。
今年7月、全国規模ではじめての広告監視事業が実施されました。今後インターネット上の薬事法表記については各企業や都道府県レベルの対応ではなく、国家全体として薬事法表記に関する統一ガイドラインが構築されていくべきだと考えます。
【参考】インターネット上の医薬品や健康食品などに関する
広告監視を初の全国規模で実施
0プロバイダー等11社と協力0
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/yakuji/news/pressyakuji060628_2.html
今回はインターネット広告の概要についてご説明しました。次回は各企業の広告掲載ガイドラインなどを具体例として考えていきたいと思います。
連載 インターネット薬事法
- 第21回 2009年度インターネット薬事法連載再開!
- 第20回 街なかでピル販売。規制が駆け込み寺を生む。 [緊急情報]
- 第19回 薬事における流通の落とし穴 [緊急情報]
- 第18回 あなたが見ている情報に偽医者はいませんか? [緊急情報]
- 第17回 未承認薬販売と個人輸入の裏表 [緊急情報]
- 第16回 広告違反で人が死ぬ [緊急情報]
- 第15回 輸入化粧品からステロイド検出。 [緊急情報]
- 第14回 カラーコンタクトレンズ、ついに規制。 [緊急情報]
- 第13回 インターネット広告の真偽
- 第12回 インターネット販売と薬事法
- 第11回 ネット広告会社の取り組み(3)
- 第10回 ネット広告会社の取り組み(2)
- 第9回 ネット広告会社の取り組み(1)
- 第8回 普及するインターネット広告と薬事法
- 第7回 インターネット商取引と薬事法
- 第6回 薬事法の基礎 3
- 第5回 薬事法の基礎 2
- 第4回 薬事法の基礎 1
- 第3回 今こそ正しい情報を 2 [緊急掲載]
- 第2回 今こそ正しい情報を [緊急掲載]
- 第1回 はじめに
- 執筆者紹介 吉田武史氏
- 執筆者紹介 松原伸禎氏
- 「インターネット薬事法」連載開始!