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【インターネット薬事法】第17回 未承認薬販売と個人輸入の裏表 [緊急情報]

2008年8月4日 (月)

 31日に、ボツリヌス菌毒素が入った未承認薬の販売を行っていた業者が書類送検されるという事件があった。警視庁によれば、医師に対しての未承認医薬品の無許可販売が摘発されたのは初めてのケースであるという・・・。

 ボツリヌス菌毒素といえば、最近流行のプチ整形におけるボトックスに使用されているものであり、それ自体はトレンド商品である。しかしながら、今回の事件では美容方面に対する視点では無く、敢えて「医師による医薬品個人輸入の代行手続に警鐘を鳴らした事件」というポイントに特に注目して紹介したい。

 そもそも、美容整形の領域で治療という範疇を考えた場合、ボツリヌス菌毒素は確実に雑貨品で販売することは出来ない。つまり、一般的に薬事法上の目的規制という立場では、訴求の為にも確実に医薬品製造販売承認をクリアする必要がある。しかしながら、医師における治療の一環として使用される医薬品の中には個人輸入により入手した未承認薬等が使用されるケースも多く、治療に使われる医薬品は必ずしも承認品とは限らない。

 そこで、輸入という手続きにより未承認薬を入手することを考えた場合に、登場するのが個人輸入の代行業者の存在である。個人輸入に関してのガイドラインは「個人輸入代行業の指導・取締り等について(医薬発第0828014号平成14年8月28日)」で紹介されており、その後大きな解釈論上の変更はいまだ行われていない。

 そして、行政が円滑に対応しないのを良いことに、個人輸入代行業者の中には不当広告を通して集客をし、薬事法第66条、第68条関係に直接抵触しているケースも多く見られる。特にインターネット上で特定のキーワードを検索すれば、星の数ほど違法なページが抽出できる。

 この現状を行政はどのように把握しているのか・・・?

 最近、厚生労働省の人手不足はドラッグラグ、デバイスラグといった、医薬品や医療機器の承認が降りるまでの時間が長いという現状で報告されているが、人手不足が薬事の現場を把握していない理由になるのであろうか・・・?

 または、黙認しているだけなのか・・・?

 個人輸入の相談を吉田法務事務所で受ける場合に個人輸入代行業者の方から「どのような方法を使えば法に抵触しないで、未承認薬を広告できるか?」、「個人輸入を海外法人のふりをして対応した場合は、日本の法律で裁けないのか?」といった核心に迫る質問を多く受けるが、現在の所、全て法律上、通知上の解釈しかないと回答する。その上で、行政による円滑な取締が行われていない現状も説明する。当然脱法行為を助長する訳では無く、現状のみを紹介するのである。

 つまり、薬事法務の現場では個人輸入の運用に対し、情報が少なすぎるという声、逃げ道が沢山あるという噂が一人歩きしているのが現状である・・・。

 私は、個人輸入代行業者や行政を矢面に挙げて否定するつもりは全く無いが、インターネットという媒体を例に挙げれば、そこはあまりにも無法地帯である。

 国内の承認薬では助からないはずの命を救うことが出来る場合もあるという点で、手続き上、個人輸入は必須である。しかしながら、個人輸入に関連した違法行為の解決策を導く、明確な手立ては存在しない。

 そして、最終的には、薬事法を知らない消費者や医師が、個人輸入の実態を知らずに、入手した偽の医薬品を信じて使用しているケースもある・・・。

 常に、個人輸入では消費者や医師は弱者である。

 今回の事件は氷山の一角。

 消費者が出来る最低限の方法は、あらゆる手段を駆使し、「情報の裏」まで知ることである。

 「情報の裏」を知らなければ、「情報の表」を知ることが出来ない。

 そして、行政が「総合的に円滑な対応」をすることを真に願うばかりである。


薬事法対策ホームページ研究室

吉田法務事務所代表 吉田武史
http://yakuji.net/

ノーブルウェブ代表取締役 松原伸禎
http://www.nobleweb.jp/


連載 インターネット薬事法




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