現在、インターネット上でサプリメントや健康食品などを扱う業者は無数に存在します。競合も多く、その販促活動はエスカレートしていく一方ですが、商品をより魅力的に見せようとする「営業努力」の結果、ネット上には薬事法に抵触すると思われる不適切な販促文があふれています。
こういった販促文を取り締まるのは、ホームページ管理者の所在地である地方自治体ですが、判断が微妙なグレーゾーンの表現を含め、その数があまりにも多く、またネットの特性により実際の所在地が曖昧なことも手伝い、ネット上の管理は思うように進んでいないのが実情です。
薬事法に違反する表現をネット上に公開することは非常に簡単にできてしまいます。ホームページを公開するには、ドメインを取得した上でホームページのデータを設置するホスティングサーバーを設置します。ホスティングサーバーはそのメンテナンスの煩雑さから、よほど多くのデータを扱うホームページでもない限り、専門のサーバー会社からスペースを間借りして設置するケースがほとんどです。
サーバー会社からスペースを借り受ける際、サーバー会社の利用規約に同意した上で契約を行います。サーバー会社はこの利用規約の中でアダルトやマルチ商法などの内容を規制する禁止事項を設けていますが、商品の効果効能に関する記載にまで踏み込んで言及している会社はインターネット商取引を専門に扱うごく一部の会社だけにとどまります。薬事法に関して外部でブレーキをかける存在がない現状下、ホームページに掲載する内容はホームページ担当者の薬事法理解に任せられているのです。
こうした状況下、ネット上で実際に薬事法の存在に気づかされるのは販促活動としてインターネット広告を利用する時かもしれません。オーバーチュアやgoogleアドワーズといったリスティング広告、ヤフービジネスエクスプレスなどのサービスは、企業単位で薬事法の規定を設け、その規制に当たっています。
次回は具体的にこれらインターネット広告を扱う会社の取り組みを考えてみたいと思います。
連載 インターネット薬事法
- 第21回 2009年度インターネット薬事法連載再開!
- 第20回 街なかでピル販売。規制が駆け込み寺を生む。 [緊急情報]
- 第19回 薬事における流通の落とし穴 [緊急情報]
- 第18回 あなたが見ている情報に偽医者はいませんか? [緊急情報]
- 第17回 未承認薬販売と個人輸入の裏表 [緊急情報]
- 第16回 広告違反で人が死ぬ [緊急情報]
- 第15回 輸入化粧品からステロイド検出。 [緊急情報]
- 第14回 カラーコンタクトレンズ、ついに規制。 [緊急情報]
- 第13回 インターネット広告の真偽
- 第12回 インターネット販売と薬事法
- 第11回 ネット広告会社の取り組み(3)
- 第10回 ネット広告会社の取り組み(2)
- 第9回 ネット広告会社の取り組み(1)
- 第8回 普及するインターネット広告と薬事法
- 第7回 インターネット商取引と薬事法
- 第6回 薬事法の基礎 3
- 第5回 薬事法の基礎 2
- 第4回 薬事法の基礎 1
- 第3回 今こそ正しい情報を 2 [緊急掲載]
- 第2回 今こそ正しい情報を [緊急掲載]
- 第1回 はじめに
- 執筆者紹介 吉田武史氏
- 執筆者紹介 松原伸禎氏
- 「インターネット薬事法」連載開始!