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【インターネット薬事法】第16回 広告違反で人が死ぬ [緊急情報]

2008年7月23日 (水)

 18日に未承認のがん検査キットの販売により薬事法違反の疑いで逮捕者が出た。そして、実際にそのキットを用いたガン患者がキットの「陰性」結果を信じ、治療が遅れ、死亡したというケースも・・・。

 ガンが簡単に検査出来るキット・・・例えば、迅速な判断が求められる体外診断用検査薬を例に挙げても、非常に魅力的な訴求である。

 しかしながら、この「魅力的な訴求」は当然、薬事法の規制要求の範疇で取扱われる。前述の内容ではあるが、薬事法第66条068条では「何人も」という規制により、業者のみならず、消費者間での体験談、推薦等も含め、誰が言った場合であっても、訴求、広告に対する規制が適用出来る法規定となっている。つまり、薬事法では広告規制を厳しく規定し、風説の流布も許さない。

 また、一方で、薬事法の規制要求の一つである目的規制において、例えば、今回のケースの様に「診断」につながる目的を有する可能性のある製品は、薬事法の第2条2項で「人又は動物の疾病の診断」に用いられるという医薬品の定義の範疇であるか否かをあらかじめ流通前に確認されている状態が要求される。

 そして、医薬品の定義の範疇であると総合的に判断されれば、取扱者(製造販売業等)は流通に対する規制も遵守する必要がある。また、同時に、流通に必要な許認可(品目に関する承認と業に関する製造販売業、製造業、販売業等の許可)の取得理由が生じ、そもそもこれらの整備が出来ていない状態で販売することは許されず、法で規定された手順を踏まずに販売等を行った場合には、未承認医薬品の販売等で法に抵触するという構図になる。

 しかしながら、実際に法に抵触するケースは多く、インターネット上で検索すれば、未承認医薬品等の販売を行っている業者は無数に存在する。

 ではなぜ、一般的に、薬事法違反、法抵触が多発するのか?

 未承認医薬品等の取扱業者に対して助け船を出すつもりは一切無いが、我が国の許認可申請のシステムにおける煩雑さが関係していることも理由の一つに挙げることが出来るかもしれない。

 例えば、審査期間に関して、日本では承認申請を行った場合のドラッグ・ラグ、デバイス・ラグといった、申請の処理期間が他国に比べて長い、審査する担当官も少ないという問題点、申請にかかる費用が膨大であるという点も水面下には存在している。

 取扱業者の立場で考えた場合、「手間と費用、時間がかかることはしたくない、つまり、発覚しなければ、面倒な手続きをあえてしないで販売する」という考えに至る業者が大勢いることは事実。

 吉田法務事務所で受けるお客様からの質問の中で多いものの一つに、「この商品を取扱いたいのですが、簡単に輸入、製造することが出来ないのでしょうか?」といった内容があり、業許可と許認可の説明をすると難色を示されるケースも多々ある。また、ネット上で未承認薬を購入して、副作用が出たという消費者サイドからの相談も多々ある。

 「嘘に対して真実を見抜けない消費者」、「嘘と解っていながら販売する取扱業者」、そして、「嘘に対して規制をかけきれていない行政当局」の3者における負の関係は現在も進行中である。「嘘に対して規制・法律を改訂し取締を厳格にする行政当局」、「嘘の商品を販売しない取扱業者」の準備は一般的に難しい。

 しかし、視点を変えて「嘘に対して真実を見抜ける消費者」を準備することは比較的検討しやすいのではないだろうか?

 消費者保護を目的とする法律は多数存在するが、その状況に満足するのではなく、自己の目で法律の真実を見抜くことにも意義があることを忘れてはいけない。


薬事法対策ホームページ研究室

吉田法務事務所代表 吉田武史
http://yakuji.net/

ノーブルウェブ代表取締役 松原伸禎
http://www.nobleweb.jp/


連載 インターネット薬事法




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