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【インターネット薬事法】第5回 薬事法の基礎 2

2007年07月23日 (月)

 「薬事法の基礎 1」 のつづき

 つまり、「健康食品」は効能効果を直接表現することは出来ません。

 実際に効能効果を表現しているインターネット上のサイトもありますが、ほとんどが未承認医薬品等の広告(薬事法68条)に該当します。

 「この食品を摂取したら、薬(=医薬品)を飲まなくても良くなりました。」という体験談もインターネット上では注意が必要です。そもそも、巷の医薬品以上に効能効果があるのであれば、薬事法上の観点から、「食品」として販売は不可能です。販売業者が積極的に自社のPRとして体験談を記載しているケースも多く見受けられますので十分な見極めが必要です。(なお、食品のカテゴリに入るものであっても、ある一定の条件を満たした場合にのみ「栄養機能食品」や「特定保健用食品」といった表現・表示が可能となりますが、他の法律(健康増進法等)で規定されている為、薬事法の対象外となります。)

 また、HP上で直接商品の紹介をすると薬事法違反になることが明白な場合、他のリンクから商品の紹介を行う場合がありますが、特にインターネット広告では、リンク先の内容も同一広告の一部とみなされますので注意が必要です。

 つまり、上記の内容から、リンク先で体験談を記載した、一見全く因果関係が無い様に見えるサイトでも、実際は顧客を誘引する目的があるか無いかによって全く異なります。

 薬事法という法律の視点から着目すると、医薬品等の申請をする方のみに適用されそうですが、実際には改めて身近な方にも適用される法律であるということが確認できると思います。

 インターネットを用いて商品を選択する場合には、視覚的な内容(表示、広告)が主たる訴求物となりますので、規制も厳しく、都道府県がプロバイダーと提携して、監視を進めている実態も納得が出来ます。

 そこで、消費者の方は、下記の要件を特に注意して、インターネットの表示を確認するとより間違いの少ない選択が可能であると思います。なぜなら、下記の事項は、インターネット上では表現が曖昧になっていたり、誇大広告となっているケースが多く見受けられる為です。

【インターネットにおける表示の留意点:消費者サイド】

下記の5項目を最低限度確認する。

1.商品の保証表現(医者が推奨したり、必ず効能効果があると思わせる表現)の有無
2.輸入品か国産品かの有無(個人輸入等であれば代行業者の有無)
3.購入のみならず、返品・不具合等も含めた商品お問い合わせ先の有無
4.製造販売業者、販売元等の記載(薬事法の対象規制品目は記載必須事項)
5.通常医者の処方箋等が無いと購入が出来ない商品の場合はその信憑性の根拠

 そもそも、インターネット販売においては、販売サイド(販売業者等)において、回収リスクと行政指導のリスクが第一の優先事項として考えられる傾向があります。

 例えば、箱に記載されている表現が誤っていた場合は確実に回収のリスクが伴います。しかしながら、インターネットでの記載表現が間違っていた場合は行政指導がされるまで、放置されているケースが多く見受けられます。

 つまり、インターネット上の星の数ほどあるサイトを行政が全て監視しきれていないのが現状にある為、「見つかるまでは、違法掲載を続けることが可能である。インターネットでの広告はすぐに内容の変更が可能である為、指導をされてから変更をすればよい。」と考えている業者も多く存在します。また、行政からの指導があれば、姿形を変えて別の媒体で広告することで、逃げ回っている業者も多くいます。

 人の健康、美容には多くの人を魅了する内容が多く含まれております。

 以前に紹介をしましたが誰にも薬事法の風説の流布としての誇大広告を禁じている条文が存在する理由も何となく理解ができます。

 一方で消費者を保護する法律は現在機能していません。

 消費者の薬事法に対する認識と知識が今後ますます要求されるでしょう。

 「薬事法の基礎 3」につづく


薬事法対策ホームページ研究室

吉田法務事務所代表 吉田武史
http://yakuji.net/

ノーブルウェブ代表取締役 松原伸禎
http://www.nobleweb.jp/


連載 インターネット薬事法



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