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【インド薬業事情】第21回 インド製薬会社の収益性

2007年10月23日 (火)

 インド製薬会社がGE薬やAPIに関し、国際的な事業展開をしているが、その背景に高い収益性がある。以下、その概要を示す。

2006年度 2005年度
売 上 税前利益 利益率 売 上 税前利益
Cipra 35,720 8,008 22.4 28,858 7,094
Ranbaxy 61,915 9,389 15.1 53,676 3,727
Lupin 20,289 3,967 19.5 16,610 2,302
Nicholas Piramal 16,398 2,224 13.5 14,494 1,842
Zydus Cadila 18,747 2,739 14.6 15,078 1,768
Wockhardt 11,563 2,526 21.8 9,850 2,654
Sun 22,372 8,233 36.8 17,371 5,969
Dr.Reddy’s 68,417 17,716 25.8 24,831 4,274
Glenmark 12,069 3,610 29.9 6,952 1,120
Torrent 13,011 1,090 8.3 9,685 777
単位:100万インドルピー

 以上のように、大手といわれる企業間でかなりの差がある。一般的には、製剤とAPIの事業構成において、製剤比率の高い企業(Cipra 9:1、Sun 8:2等)が、また、Ranbaxyを除き、海外比率の高い企業(Cipra 約50%、Dr. Reddy’s 30~40%等)が高収益を上げているといえる。

 インドの製薬大手は、国内外でのM&Aを通じて規模の拡大を図ってきた。そして、彼らの最大のターゲットは米国市場であるが、そこでの製剤事業についても、最近、価格競争の激化がかれらの体力を消耗してきており、国内市場への回帰の動きも生じている。

 また、インド国内での物質特許制の2005年からの完全施行にともない、新薬の開発のための投資が増大している。たとえば、Sun などは、高収益を背景に、ここ数年売り上げの10%(2006年度は対売上の13%)を超える研究開発投資をしており、国内の中堅製薬企業並みである。LupinやZydus Cadila なども売り上げの6~8%程度を研究開発に投じている。

 既にメールボックス出願の物質特許の審査が始まっており(インド企業は多くの出願をしている)、数年内に、独占販売権を認められた製品が上市される可能性もある。

 今後、インドの製薬大手が、これまでのような収益を確保できるか予断を許さないが、国内市場は今後とも拡大することは間違いない。

 特に中間所得層(年収で150万から300万クラス)の増大や医療体制の充実は、高薬価の製品の市場拡大が見込まれ、余程大きな経営上のミスをしない限り、インドの製薬大手の収益性は持続するものと思われる。


ザイダスファーマ株式会社
代表取締役社長・川端一博

連載 インド薬業事情



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