現在のインドにおける医薬品承認制度を考える際には、特許による保護との乖離が大きいため、まず「特許」を頭から切り離し、あくまでもインド国内における新薬であるか否かを先に念頭においていただきたい。
インド国内における新薬については前臨床試験に始まり、フェーズI・II・IIIそれぞれについて先進国と同様の法規制があり、販売承認の取得に当たってはこれらのデータが要求されている。またGCPについても「Schedule Y」(注1)にガイドラインが規定されている。但し、「既に海外での販売実績がある新薬についてはその限りではない」とされており、その場合にはフェーズIIまでの臨床試験の国内での実施を省略することができる場合がある。それでもフェーズIIIについては国内で実施してそのデータを申請書類に添付する必要があるが、必要な症例数はそれぞれのケースによって異なり、どの試験に何百症例以上というような規定はない。インドの外資を含む大手製薬メーカーはこれらの制度に従って臨床試験を国内で行い、「インドにおける新薬」を上市して国内での高いシェアを確保してきている。
一方で、前述の新薬が国内で上市された後再審査期間に相当する4年が経過すると、臨床試験を実施することなく同様の医薬品を上市することができるようになる。即ち後発品である。後発品の申請に当たって必要となる資料は日本の場合とほぼ同様であるが、健常人ボランティアによるBE試験は必ずしも必要ではなく、溶出試験等による同等性の立証で済む場合が多い。また、承認機関も新薬については中央官庁であるCDCO(Central Drugs Control Organization)であるのに対し、後発品については各州にあるSDCO(State Drugs Control Organization)となる。
以上、制度の骨格・構成そのものは先進諸国と大差はないようであるが、臨床試験の内容や症例数等に関して具体的な規準がないため、海外のメーカーがいきなり承認申請を試みるよりも、現地の、特に外資を含む大手メーカーが行う方が、経験・実績も豊富で審査機関との交渉力もありスムーズに短期間で事が運ぶというのが現状である。
今後の予測としては、前回述べられた特許制度の変化に伴い、今後10年以内に市場に大きな変化が起こる。これまで新薬の全てが海外オリジンであったのに対し、インドオリジンの新薬が徐々に登場することになる。承認制度についてもそれらの状況を踏まえた見直しが行われ、より細かい規定が加えられることになるであろう。
注1)
インドでは法令やガイドラインに関する名称に「Schedule …」という表記がなされる場合がある。代表的な例としてはGMPに相当する「Schedule M」がある。


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