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【彩の国にいる37人の薬剤師】神主と薬剤師の両立目指す 本庄市児玉郡薬剤師会・土師哲人さん

2024年08月09日 (金)

近い将来には宮司に

土師哲人さん

<私ってこんな薬剤師>
相談しやすい薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
地域に密着した薬剤師
<趣味>
子どもと遊ぶこと

 「実は神主の資格を持っている薬剤師です」。本庄市児玉郡薬剤師会が推薦した薬剤師は土師哲人さん。土師(はにし)という珍しい姓であるのも分かる。実家が神主家系だからだ。

 「長男で親からも資格を取ってくれと言われて、大学在学中の長期休みを利用して資格を取りました」。神職には「浄階」「明階」「正階」「権正階」「直階」の五つの階位があり、土師さんが保有しているのは一番下の「直階」。直階の階位では宮司を補佐する禰宜のような仕事はできるが、宮司になることはできない。もう一つ上の「権正階」以上の階位になることが必要だ。

 神主になるには、その地区での推薦が必要となる。神主をめぐっては担い手不足が問題となっており、土師家も八つの神社を受け持つ。「父が亡くなり、長男である自分が宮司をやらないといけない。今は猶予期間をもらっている状態です」と話す。5年後をメドに宮司を目指す考えだ。

 群馬県前橋市で生まれ、その後埼玉県児玉郡神川町で過ごした。薬剤師を目指した理由の一つは、アトピー体質で病院に通院した少年時代に対応してくれた薬剤師が「とても親切で優しかったから」。高校で理系へと進み、様々な進路の選択肢がある中、実体験で薬剤師に抱いた好印象が決め手となった。

 進学したのは高崎健康福祉大学薬学部で、薬学6年制と同大薬学部の1期生でもある。「先輩が誰もいなくて何も分からなかった」という戸惑いもあったが、「知識量があって患者さんからの質問に何でも答えられる薬剤師」を目指し、現在は埼玉県北部を地盤とする中央薬局グループで児玉郡上里町内にあるあさひ薬局に勤務している。

 自身の性格については「寡黙でコツコツやるタイプ」と話す。患者対応では「話したいタイプであれば耳を傾ける」ことを心がけている。見た目の柔和な印象も加わり、患者からは「相談しやすい」と評価されるようになった。

土師哲人さん

 本庄市児玉郡薬剤師会は、埼玉県北部の本庄市や児玉郡の上里町、神川町、美里町をカバーする。埼玉県と群馬県の県境に位置しており、埼玉県の病院・クリニックからだけではなく、群馬県の病院・クリニックからも処方箋を応需する薬局も多い。「埼玉県の医療機関と連携して質の高い医療を提供していくのはもちろん、群馬の医療機関とも連携を取って在宅も含め質の高い医療を提供していく」との問題意識を持っている。

 地域活動にも積極的で土師さんも薬剤師会の一員として参加する。学校薬剤師では小学校を担当しており、5~6年の児童向けには「タバコと飲酒」のリスクなどについて講演を行う。「日本と海外のタバコ販売価格がどう違うかなどのクイズを出題し、関心を持ってもらうように工夫している」と貴重な経験になっているようだ。将来的には地域住民向けの健康講話も「ぜひやってみたい」と意欲的だ。

 2児の父で休日は「子供と遊んでいる」。神主と薬剤師の仕事の両立にもチャレンジする。「神主の仕事でも薬剤師の仕事が生かされれば。地域に住む高齢者や、病院に頼っている方が医師や薬をもらっている薬剤師に言えずに悩んでいることがあれば、私が関わることで何かお役に立てることができればいいですね」

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