ボストン在住の日本人として触れずにいられない最近の話題と言いましたら、地元のレッドソックスがポスティング制度で松坂投手との交渉権を得たことではないでしょうか。交渉権決定は地元のマスメディアでも取り上げられ、今春に行われたワールドベースボールクラシックでの映像も交え、松坂投手の紹介でレッドソックスが真剣に欲しがっている様子が伝えられていました。
新聞でも連日、松坂投手の写真や日本での成績とともに記事が掲載されました。しかし、やはり注目されたのは、5111万1111ドル11セント(約60億円)という入札額でした。職場では、同僚から「彼はそんなにすごい投手なの?」「活躍すると思う?」とか、「misaは、イチローとどっちが好き?」などと質問されました。
職場でも最も話題になったのは、やはり高額な入札額で「私たちファンに負担が来るかも……」という話でした。なぜならレッドソックスの本拠地フェンウェイ球場はいつも満席で、これ以上の売り上げ向上は見込めないので、チケット価格が値上がりするのでは?との憶測があるからです。
レッドソックスファンは熱狂的と言っていいほどなので、調子が良ければ多少の値上がりは何も言わないでしょうが、もし期待通りの活躍を松坂投手ができなかったら、どんなブーイングが起こるかを想像すると、同じ日本人として胃が痛くなる思いです。
そんな松坂投手の話題も、サンクスギビングデー(感謝祭)を迎える頃には一段落しました。今回はそのサンクスギビングデーの事について少し紹介させていただきます。
サンクスギビングデーとして、1863年にリンカーン大統領が11月の最終木曜日(1939年からは第四木曜日へと変更)を祝日と定めたそうですが、起源はボストンから車で1時間ほど南下した、プリマスでの出来事です。

原寸大で復元され、プリマス港に浮かぶメイフラワー号。102名のピューリタンが乗って来たのですが、厳しい寒さに絶え翌秋の収穫期を迎えることができたのは50名ほどだったそうです。
プリマスは1620年、イギリスからメイフラワー号に乗って清教徒(ピューリタン)が新天地を求めて住み始めた地です。メイフラワー号はバージニア州を目指したそうですが、実際にはマサチューセッツ州ケープコッドの先端にあるプロビンスタウンに接岸し、最終的に安住の地を求めプリマスへ到着したようです。
プリマスには先住民であるインディアンたちが暮らしていました。ピューリタンたちはインディアンたちと条約を結び、互いの安全を認めながら生活を始め、インディアンたちから田畑の耕し方、七面鳥の捕まえ方などの狩りや、海での漁などを教わったそうです。
そうして翌年の秋には豊かな収穫に恵まれ、感謝の意を込めインディアンたちを招いて宴を行ったのが、感謝祭の起源と言われています。ボストン周辺はアメリカ独立だけでなく、サンクスギビングデーゆかりの地でもあるのです。
現在では、サンクスギビングデーはそれぞれの実家へ帰り、七面鳥(Turkey)料理を食べるというのが季節行事になっています。いわば日本の盆か正月のような感じでしょうか。アメリカに親類のいない私たちを気遣ってか、毎年友人や上司が自宅へ招待してくれます。私たちは未だ作法に慣れないので、嬉しいような困ったような複雑な思いに加え、何(デザート?飲み物?)を持参するかで毎年悩み、困惑しているというのが私たちのサンクスギビングデーの恒例です。
Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。
坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。
連載 坂本美佐のボストン便り
- No.42「最終回」
- No.41「手術しました」
- No.40「やっぱり黄色」
- No.39「州民皆保険制度」
- No.38「患者となって」
- No.37「カードがいっぱい」
- No.36「不思議の国の……」
- No.35「両刃の剣」
- No.34「サンクスギビングデー」
- No.33「カーシェアリング」
- No.32「いつから新年度?」
- No.31「病院に学習室?」
- No.30「Give me a hug」
- No.29「レクチャー」
- No.28「ナンタケット」
- No.27「Lab Week」
- No.26「笑う門には……」
- No.25「働きざかり」
- No.24「ピアノマン」
- No.23「パーティー」
- No.22「予期せぬこと」
- No.21「秋の風物詩」
- No.20「受診するのも大変」
- No.19「MOVIN’ OUT」
- No.18「病院にベルマン」
- No.17「The Fourth of July」
- No.16「テスト?」
- No.15「Blood Donor Center」
- No.14「サマータイム」
- No.13「文化の違い?」
- No.12「難しいタイミング」
- No.11「勤務通信簿!」
- No.10「査察!」
- No.9「秋なのに熱いボストン」
- No.8「近そうで遠い」
- No.7「Early bird」
- No.6「日本ブーム?」
- No.5「VACATION!」
- No.4「MGHのサービス」
- No.3「ご近所様は?」
- No.2「冬のあとには」
- No.1「はじまりはいつも……」