先日、ビリー・ジョエルのコンサートへ行ってきたのですが、コンサートの2ヵ月前にあったチケット発売方法が少し変わっていましたので、その様子を今回はお伝えさせていただきます。
アメリカでも有名アーティストのコンサートチケットは入手困難なことがあります。ビリー・ジョエルも人気がある上に7年ぶりの全米ツアーとあって、チケット入手はほぼ無理だろうなと思っていました。
ところがRandom Number Distribution方式による発売で、「最初に購入できる確立が同じ」と言うので、ダメで元々のつもりで購入してみることにしました。とは言うものの、「チケット売り場にどんなに早く並んでも、発売間際に並んでも最初に購入できる確立が同じってどんなやり方だろう?」と思い、発売の1時間ほど前にチケット売り場に行きました。
20名程しか並んでいなくて拍子抜けしてしまいましたが、発売時間前には長蛇の列が形成されました。そのうちに係員が前から番号が書かれた半券を配り出し、残りの半券を紙袋に入れていきます。
発売開始10分程前になりましたら、係員が「これからくじ引きをします、くじを引く人は並んでいる人の中から選びます」と言って、親子で並んでいた小さな男の子に運が委ねられました。
男の子が紙袋に手を入れ一枚の半券を係員に渡すと、係員が「……番の人は手を上げて下さーい」と、その番号の人を先頭に最後尾の人までを販売カウンターまで誘導して行ったのです。
これが「最初に購入できる確立が同じ」という意味だったのです。でも、くじ引きの時点で最前列にいた人は最後尾だった人の後ろに並ぶことになってしまい、なんだか不公平感も否めません。私たちは当選番号より前にいたので、購入の順番が遅れ不運でした。
しかし、この方法はくじ引き開始時間前に並んでさえいればよいので、徹夜で並んで会場周囲に迷惑をかけることを防ぐ利点があります。それにしても、みんなの運を委ねられる「くじを引く人」にだけはなりたくないものです。
コンサートはもちろん良かったのですが、印象に残ったのはお客さんの楽しみ方です。開演直前まで空席が目立ち、開始予定時間を30分ほど過ぎたころにやっと満席になりました。時間にルーズというか、マイペースというか……そんな文化に慣れたはずなのに、開始30分前に席についてしまった私たちは待ちくたびれてしまいました。
さらに、コンサート開始と共にビールを片手や両手にかかえて入ってくる人の多いこと!また、コンサート途中で席を立って戻ってきたかと思えば、ビールやフライドポテトなどを手にしている人もいて、聴きに来ているというよりコンサートそのものを楽しんでいる感じです。
私は待ちくたびれたせいか、コンサート中にまた寝てしまいました。エアロスミスのコンサートでも寝てしまったぐらいですから、待ち時間のせいではないかも知れませんが……。
私が知らなかっただけで、日本でもRandom Number Distribution方式が一般的なのかも知れませんが、興味深い体験でしたので紹介させていただきました。
Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。
坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。
連載 坂本美佐のボストン便り
- No.42「最終回」
- No.41「手術しました」
- No.40「やっぱり黄色」
- No.39「州民皆保険制度」
- No.38「患者となって」
- No.37「カードがいっぱい」
- No.36「不思議の国の……」
- No.35「両刃の剣」
- No.34「サンクスギビングデー」
- No.33「カーシェアリング」
- No.32「いつから新年度?」
- No.31「病院に学習室?」
- No.30「Give me a hug」
- No.29「レクチャー」
- No.28「ナンタケット」
- No.27「Lab Week」
- No.26「笑う門には……」
- No.25「働きざかり」
- No.24「ピアノマン」
- No.23「パーティー」
- No.22「予期せぬこと」
- No.21「秋の風物詩」
- No.20「受診するのも大変」
- No.19「MOVIN’ OUT」
- No.18「病院にベルマン」
- No.17「The Fourth of July」
- No.16「テスト?」
- No.15「Blood Donor Center」
- No.14「サマータイム」
- No.13「文化の違い?」
- No.12「難しいタイミング」
- No.11「勤務通信簿!」
- No.10「査察!」
- No.9「秋なのに熱いボストン」
- No.8「近そうで遠い」
- No.7「Early bird」
- No.6「日本ブーム?」
- No.5「VACATION!」
- No.4「MGHのサービス」
- No.3「ご近所様は?」
- No.2「冬のあとには」
- No.1「はじまりはいつも……」