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坂本美佐のボストン便り No.35「両刃の剣」

2007年1月26日 (金)

オールドサウスミーティングハウスは1729年に集会場として建築され、現在も利用されています。独立戦争への伏線となったボストン茶会事件の当日は、5000人以上が集まり決起集会をしたそうです。

オールドサウスミーティングハウスは1729年に集会場として建築され、現在も利用されています。独立戦争への伏線となったボストン茶会事件の当日は、5000人以上が集まり決起集会をしたそうです。

 毎年のことですが、アメリカの年末年始はあっさりと過ぎて行き、普通の月替わりのように感じます。でも今年は祝日の元旦が月曜日だったので三連休になり、気分的に少しノンビリとした年末年始を過ごすことができたように思います。

 2005年の1月号でも紹介させていただきましたが、Massachusetts General Hospital、MGHでは一年に一度勤務評定があります。その評価で翌年の給与が決まるので、いわば能力給のようなものに相当します。日本にいるころや渡米した当初は、「仕事量を評価してもらえるシステムはいいなー」などと思っていましたが、最近は「良い面ばかりではないなぁ」と考えるようになってきました。

 と言うのは、少し周囲の状況が理解できるようになり、忙しい時に誰かが「……(人の名前)は給与が良いのだから、この仕事は任せばいい」とつぶやき、別段あわてる様子もなく淡々としていることの意味が分かりかけたからです。

 当初は、「忙しくなっても平静を保とうとしているのかな?」と想像していたのですが、その言葉は本当に言葉通りの意味だったのです。つまり、「自分より高い給料をもらっている人に、より多くの仕事を任せば良い」との言い分のようです。悪く言えば、給与が上がらずとも最低限の給与が貰えれば(つまり昇給率ゼロ)良いと考え、それなりに仕事をしているようです。

 能力給は、頑張った分だけ評価されるという良い面だけをみていたのですが、その逆(仕事を熱心にしない)もあり得るので、「何事も両刃の剣だな」と思いました。

 私などは、向上心と言うよりも「目の前に溜まっている仕事をなんとか片付けなくっちゃ!」と考えてしまい、なかなかドライに割り切れません。

 アメリカでは転職が多いのですが、それは業務によって昇給の割合が決まっていることが一因になっているのではないかと思えてきました。仮に毎年満点の評価を得て、昇給率が4~6%だとしても、就職時の給与が低ければ大幅な給与アップを望むことはできません。ところが転職の場合は、一気に30%増ということもあり得るのです。

 しかし、転職ができるのも職があればの話です。臨床検査技師が不足しているマサチューセッツ州ならではの話かも知れません。大学を卒業したばかりの同僚に聞くと、病院への就職希望の同級生は少ないとのことでした。ちなみに、MGHを愛し、能力も向上心も高く勤務年数の長い同僚も多いです。

 再度日本を離れて丸3年が過ぎ、本当に日本が恋しくなってきました。そんな時にやっとビザ延長用書類が届き、実はこの原稿が皆さまのお目にとまる1月下旬は日本におります。3年ぶりの日本、3週間ほど滞在しますが今からとても楽しみです。

 日本の新しい電気製品はどんなものがあるか、価格がどうか見てくるよう同僚から頼まれています。Made in Japanはいいと信じているようです。最近は日本のメーカーでも日本製でない製品が増え、同僚から「Made in Japanだと信じて買ったのに……どういうこと?」と言われ「私に言われても……」と心の中でつぶやくことがあります。

 1月も下旬になってしまいましたが、読んでいただいている皆さまにも07年が良い年になりますよう願っております。


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り




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