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坂本美佐のボストン便り No.7「Early bird」

2004年09月11日 (土)

 Earlybirdとは、直訳しますと「早い鳥」ですが、口語的には早起きという意味で使われており、「早起きは三文の得」という諺も“Theearlybirdcatchestheworm.”と表現されます。

Massachusetts General Hospitalを正面から望んだ風景。正面の白いビルが正面玄関、向かって右側のビルは主に外来、左側の高層ビルには入院病棟が主に入っています。他にも多数のビルで構成されています。

Massachusetts General Hospitalを正面から望んだ風景。正面の白いビルが正面玄関、向かって右側のビルは主に外来、左側の高層ビルには入院病棟が主に入っています。他にも多数のビルで構成されています。

 アメリカで働く人々にはこのEarlybirdが多いのです。私の勤務も朝6時半から始まりますが、Massachusetts General Hospital(MGH)へ向かう途中、すでに工事を始めている風景も目にして、Earlybirdが至る所にいることを実感します。

 ほかにも、朝6時から開店するスターバックスコーヒー、7時から開く郵便局やクリーニング店など、仕事へ行く前にちょっと寄りたいサービス業が開いているので社会全体が早起きに対応している印象を受けます。

 それは病院においても例外ではありません。例えば輸血部に送られてくる手術予定表を見ますと、朝6時45分や7時から予定が組まれていることもあるので、その準備にかかわるためには当然それより早くから勤務を開始していなければなりません。

 そもそもMGHは24時間稼働しており、輸血部ではDayshift、Eveningshift、Nightshiftと分かれており、いずれの時間帯で勤務しても原則的に8時間労働(食事休憩30分と中休憩の15分は含みません)を行います。

 3つに分かれている勤務時間ですが、その勤務開始時間も実は微妙にずれています。例えば、同じDayshiftでも5時45分から働く人、7時から働く人などがおり、もちろん早く来た分、早く帰ることもできるわけです。

 融通の利く勤務時間ですが、その日の気分で早く来たから早く帰るのではなく、雇用時に何時から勤務するのかについて雇用契約を結んでおり、きちんとそれは守られております。

 例えば、Dayshiftで働く契約を行った場合、基本的に他の時間帯で働くことはありません。しかし例外もあり、Eveningshiftの勤務者が病欠や休暇などで人が足りなくなった場合には、その時間帯でも勤務可能な人を一時的に募集し、16時間労働を行うこともあります。

 いわゆる超過勤務になりますので、給与も良くなりますし、以前「Vacation!」の項でお話ししたearnedtimeも増えるので、意外にも希望者が多いのです。ただし、無制限に超過勤務ができるわけではなく、認められている超過勤務時間の範囲でのみ働くことが可能です。

 働く時間がある程度選べるだけでなく、実は働く日を選ぶことも可能で、フレキシブルな印象を受けます。例えば、月曜と火曜日だけ勤務したり、土曜と日曜日だけ勤務することも可能です。また、事前に登録しておき、勤務者が足りなくなった場合など全く不定期に勤務するケースなどもあります。

 早起きだけでなく、ほかにも時間的に融通が利くことがMGHにはあります。「MedicalWalkinUnit」という予約なしで利用できる総合外来受診部門では、平日は午前8時半~午後8時、土日曜日および祝日は午前9時半~午後4時まで受診可能です。TVでもおなじみのEmergencyRoom(ER)部門はもちろんMGHにもあり、ここは時間に関係なく緊急患者を受け入れております。

 最初にも少し書きましたが、社会全体もこのようなフレキシブルな時間に対応するように、バスは朝4時頃から深夜1時過ぎまで、地下鉄は朝5時から深夜12時過ぎまで運行しており、スーパーマーケットやドラッグストアも24時間営業している店が多く、日常生活ではどの時間帯でも割と不便を感じないのが実情です。


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り



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