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坂本美佐のボストン便り No.29「レクチャー」

2006年07月11日 (火)
Park Street Church。ボストンコモン脇に1810年設立され、奴隷制度反対の演説が1829年にアメリカで最初に行われた場所としても有名です。

Park Street Church。ボストンコモン脇に1810年設立され、奴隷制度反対の演説が1829年にアメリカで最初に行われた場所としても有名です。

 ご存知のように、臨床検査は臨床病理(Clinical Pathology)に分類され、Massachusetts General Hospital(MGH)においても輸血部は臨床病理に属しています。MGHの臨床病理部門には生化学検査、血液検査、微生物検査等の検査部門が含まれていますが、生理検査は含まれていません。

 また、日本で言う一般検査室が存在しません。不思議に思われるかも知れませんが、例えば尿化学検査は生化学検査室、尿沈渣は血液検査室、便検査は微生物検査室で実施されています。

 前述のように臨床検査部門は大きく区分され、さらにそれぞれの検査部門内でいくつかの検査室に区分されています。その細分化された各検査(例えば凝固検査、内分泌検査等)の多くに臨床検査医が在籍しています。

 それだけ多くの臨床検査医が在籍していることからしても、自施設で有する臨床検査室が病院内で重要な役割を果たしていることが想像できます。多くの臨床検査医の存在は、診断や治療方針決定において患者サービス向上に役立っていることはもちろんですが、私たち臨床検査技師にとっても心強い存在です。

 MGHの臨床検査部門では、毎月レクチャーがありますが、各検査室の医師が交代でそれぞれの検査に関するトピックスについて30分から1時間程話してくれます。例えば微生物検査の医師が、Bird virusについてインフルエンザの検査診断を含めての話題、別のレクチャーでは移植片拒絶反応の検査についてなど、多岐にわたったテーマで行われます。

 なるべくたくさんの検査技師が聞けるように、同じ医師が同じ内容で、異なった時間帯に行ってくれます。開催月によって時間は前後しますが、例えば、朝7時半から、午前11時から、午後3時半からといった感じです。同じ日に3回行う場合もあれば、異なった日にわけて行う場合もあります。

 これらのレクチャーは業務時間内に出席可能で、その場合は業務に支障を来さないよう、事前にSupervisorの許可が必要になります。また、業務時間外に出席する場合は、Over time(超過勤務手当)を付けることができます。

 参加する際は、参加者名簿に記名するとともに、輸血部内のレクチャー参加記録ブックへも記載します。このレクチャー参加記録ブックは、こういった病院内のレクチャーをはじめ、病院外での勉強会や学会参加の日時と題名も記載します。Supervisorは業務評価の項目の一つである向上心(勉強心?)の評価に、この一年に何回レクチャーに参加したか、この記録ブックも参考にします。

 私は、昨年の業務評価の際、「Misaは今年4回参加しているけど、来年は5回参加するようにがんばってみて」と言われました。具体的な数字を言われると、目的意識も高まりやすいことを実感します。また、「次は10回」など、とんでもなく高いハードルを提示されると「そんなの無理!」とあきらめが先に来ますが、4回を5回に増やす程度なら「やってみようかな?」という気になります。

 アメリカの上司はうまい!


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り



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