毎年4月の第4週にLab Weekと呼ばれる、臨床検査週間(National Medical Laboratory Professionals Week)があります。Lab WeekはCAP、AABB、ASCPなどアメリカにある臨床検査関連の11団体による共同開催で、今年で31回目を迎えました。Lab Weekの目的として、臨床検査が専門家の手によって行われ、医療や健康管理に貢献し、重要な役割を果たしていることを知ってもらうことが挙げられます。
Massachusetts General Hospital(MGH)内の廊下には、各検査室の紹介に加え1年間の検査数や職員の人数が掲示されました。例えば生化学検査室は職員134人、850万検査/年、血液検査室は71人、104万検査/年、微生物検査室は72人、42万検査/年、輸血検査室(献血室を除く)は48人、25万検査/年といったデータに加え、検査概要を紹介するポスターです。
患者さんや他の医療従事者にも検査室を広く知ってもらうためのものだと思いますが、完全に各検査室が独立している上に人事異動がなく、他の検査室の様子を知る機会の少ない私たち自身にとっても興味深いものでした。実際に私は、日本の病院と比べると微生物検査室の大きさに驚きました。
今年はLab Weekに合わせ、“MGH Pathology”のロゴ入りのベストが作られました。昨年までにはスポーツバック、Tシャツ、ブランケット(膝掛け?)などが配られ、毎年趣向を凝らしているようです。そのほか、幾つかのイベントがあったので紹介します。
水曜日、検査部に勤務する職員への表彰式と式典があり、Chief Technologistは出席したようですが、私の同僚で出席した人はいなかったようです。人数集めのために「なるべくみんな出席するように」なんてことがないのは、アメリカらしいのかも知れません。
木曜日は朝7時30分から9時30分まで、全検査室対象で朝食が用意されました。勤務中に朝ご飯?と不思議に思われるかもしれませんが、Day shiftで勤務している職員の多くは朝7時までに仕事を開始し、交代で15分の朝休憩をとります。ですからこの朝食は、仕事を終えて帰るNight shiftとDay shiftで働く人たちが対象になるという感じです。
金曜日の午後3時から5時までは、アイスクリーム食べ放題のアイスクリームサンデーパーティーがあり、これはEvening shiftで働く人たちが対象といった感じです。ほとんどの検査室は24時間稼働していて、各自勤務時間が異なるので、誰もが平等に参加できるように複数のイベントを開催しているのだと思います。
輸血部内でのイベントは、Lab Week初日の月曜日の昼食にBaked potato(ベイクドポテト)パーティーがありました。パーティーと言っても、各自が取る30分間の昼休憩にベイクドポテトの上に好きな具やソースをかけて自由に食べるというものです。
言ってみれば日本の手巻き寿司パーティーに似た感じです。事前にベイクドポテトをはじめ、チーズ、チリソース、ブロッコリー、マッシュルーム、オニオンなどポテトの上にのせるソースや具など、持ち寄る物が決められ、ベイクドポテトパーティー初体験の私は使い捨てフォークを持ってくる当番でした。
金曜日の朝食はパンケーキパーティーです。パンケーキと各種ソースや果物が準備され、各自好きに作って食べました。また、みんなのpersonalityに関するクイズが渡され、正解率を競い合ったりしました。
ほとんどのイベントは、朝休憩や昼休憩で行われましたが、あまりにもイベントが多いのでは?と感じたり、浮かれ気分になる同僚に、「仕事にも集中して欲しいなぁ」と内心叫んでいた私は、まだまだアメリカ文化に慣れていないのかも知れません。
Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。
坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。
連載 坂本美佐のボストン便り
- No.42「最終回」
- No.41「手術しました」
- No.40「やっぱり黄色」
- No.39「州民皆保険制度」
- No.38「患者となって」
- No.37「カードがいっぱい」
- No.36「不思議の国の……」
- No.35「両刃の剣」
- No.34「サンクスギビングデー」
- No.33「カーシェアリング」
- No.32「いつから新年度?」
- No.31「病院に学習室?」
- No.30「Give me a hug」
- No.29「レクチャー」
- No.28「ナンタケット」
- No.27「Lab Week」
- No.26「笑う門には……」
- No.25「働きざかり」
- No.24「ピアノマン」
- No.23「パーティー」
- No.22「予期せぬこと」
- No.21「秋の風物詩」
- No.20「受診するのも大変」
- No.19「MOVIN’ OUT」
- No.18「病院にベルマン」
- No.17「The Fourth of July」
- No.16「テスト?」
- No.15「Blood Donor Center」
- No.14「サマータイム」
- No.13「文化の違い?」
- No.12「難しいタイミング」
- No.11「勤務通信簿!」
- No.10「査察!」
- No.9「秋なのに熱いボストン」
- No.8「近そうで遠い」
- No.7「Early bird」
- No.6「日本ブーム?」
- No.5「VACATION!」
- No.4「MGHのサービス」
- No.3「ご近所様は?」
- No.2「冬のあとには」
- No.1「はじまりはいつも……」