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坂本美佐のボストン便り No.12「難しいタイミング」

2005年02月11日 (金)

 今冬のボストンは昨冬ほど寒さが厳しくないかわりに、雪が毎週のように降り、「やっぱりボストンの冬は南国土佐出身の私には辛いなぁ」と思いながら過ごしております。そんな辛い冬ですが、冬ならではの楽しみもあります。

 それはバーゲン!

 数回前の号で書かせていただきましたが、11月下旬の感謝祭が終わると一気にホリデーシーズンに突入し、年末商戦はピークを極めます。アフターサンクスギビングデーセールやアフタークリスマスセール等、大きな祝日の翌日早朝から始まる大セール、新年を迎えてからのニューイヤーセールなど立て続けにセールが行われます。これらのセールは家具や電化製品など大型商品での割引が多く、一昨年に再びボストンへ戻った際には多いに活用して必要な物は一式そろったのでグッドタイミングでした。

 さて、今年は切羽詰まった状況ではなかったのですが、そこは女心で衣料品のバーゲンに心が奪われてしまいました。こちらのバーゲン、割引率も中途半端でなく運が良ければ75%引きなんて商品もあります。

 例えばバーバリーやアクアスキュータムなど日本では10万円を超えるようなコートが最終的に3万円以下(300ドル未満)で買うことだってできてしまいます。値引率は日が経つに従い、徐々に上がっていく(結果的に安くなる)のですが、安くなるからと思って翌週に店を訪ねるとお目当ての服は売れてしまっていたり、バーゲンが終わっていたりと、買うタイミングを逃すこともあります。

 貧乏性の私はそうやって値定めを楽しんでいる間に、お目当ての服はなくなってしまい何も買わず仕舞いに済んでしまいました。タイミングって、何につけても難しいものです。

 商品だけでなく、値引きは新聞や雑誌にまであります。地元の新聞であるBostonGlobe紙を購読しているのですが、宅配のいったん休止を申し出ましたら、再購読したら半年間は75%引きにするとの提示があり、思わず再購読を申し込んでしまいました。

 また、NewsweekやTIME等の定期刊行雑誌は、年間購読で申し込むと1冊4ドル程度の本が送料込みで1ドル未満なのです。これには驚きましたが、聞くところによると広告収入で賄っているとか。さらに夫名義で申し込むと大学割引でさらに安価になり、いったいどうやって経営は成り立っているのだろうと不思議に思えてきます。

ノーマン・ロックウエル美術館。白い建物は、緑の季節はもちろん紅葉の季節も似合いますが、雪景色と同化した冬もなかなか素敵でした。

ノーマン・ロックウエル美術館。白い建物は、緑の季節はもちろん紅葉の季節も似合いますが、雪景色と同化した冬もなかなか素敵でした。

 雑誌と言えば、Saturday Evening Postという雑誌の表紙絵を半世紀近く描き続けたイラストレーター、ノーマン・ロックウエルの美術館がストックブリッジという町にあります。ボストンから車で2時間ほど西に走ったニューヨーク州境に近い所にストックブリッジは位置し、ノーマン・ロックウエルは晩年をそこで過ごし多くの作品を町に寄贈しています。

 そのノーマン・ロックウエル美術館を1月中旬に訪れました。誰もが一度は目にしたことがあるのではないかと思うくらいに馴染みあるイラストレーターの美術館ですから、何度訪れても飽きることなく楽しいです。

 極寒のこの時期に訪れたのは、1916年から1963年にわたりSaturday Evening Postを飾った表紙絵が特別展として全て展示されていたからです。年代順に絵を見ていくと、アメリカでの当時を映しているようで印象的でした。絵の中にはストックブリッジの町を題材にした作品もあり、絵を思い浮かべながら町を訪ねるとまた違った趣です。


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り



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