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坂本美佐のボストン便り No.3「ご近所様は?」

2004年05月21日 (金)

 前回での報告はどのようにマサチューセッツ総合病院(MassachusettsGeneralHospital;MGH)へ所属したかとの話でしたが、今回はこちらでの生活のセットアップの体験を交えながら、近所のことをお伝えさせていただきます。

 ボストンがある米国東海岸北部はニューイングランド地方と呼ばれますが、それは清教徒達が1620年にメイフラワー?世号で英国(イングランド)からこの地へ移民して来たことから由来します。清教徒が住み始めただけでなく、ボストンは米国の建国に多いにかかわっております。当初は英国の植民地であった米国が英国本国からの重税に業を煮やし、停泊中の貨物船から茶箱をボストン湾に投げ込んだ1773年の「ボストン茶会事件」はアメリカが独立への道を歩み始めたエピソードとして有名な話です。実際に独立戦争はボストンを中心に行われ、ボストン市内や周囲の町には古戦場や旧跡などが多く残っております。私たちが住んでおりますBeacon Hillと呼ばれる地域もその一つで、移民たちが住み始めたばかりの頃に先住民や野生動物の襲撃にそなえて、灯り(Beacon)を立てていた丘(Hill)が由来だそうです。

ビーコンヒルにあるチャールズ通り。おしゃれな店や美味しいレストランが軒を連ねています。

ビーコンヒルにあるチャールズ通り。おしゃれな店や美味しいレストランが軒を連ねています。

 私の勤務が朝6時半もしくは7時からということが渡米前からわかっていましたので、利便性を考慮して徒歩十分以内で通える範囲で住宅探しを始めました。MGHはBeacon Hillの隣に位置していましたし、以前ボストンにいた頃よりBeacon Hillは素敵な一画との印象があったので、今度住むときは可能ならBeacon Hillにと心に決めて渡米いたしました。

 渡米翌日からさっそく不動産屋を一軒一軒訪ねては物件を探したのですが、日本同様に冬は移動が少ない為になかなか良い物件がありません。幾つかの物件を見せていただいたのですが、前述のようにBeacon Hillはボストンでも古くからの住宅街なだけに、建物も年代物が多いだけでなく建物が密集しているので、外から眺めるには煉瓦作りが綺麗で素敵な感じですが、住むにはちょっと……と言う物件も少なくありません。それでも根気よく不動産めぐりとアポイントした物件を訪れては今の住宅に落ち着いたわけです。

 Beacon Hillは昔からの住宅街だけあってほとんどの生活利便施設やいろんなお店やレストランがそろっていて、住んで見ると実に快適です。また住民もこの街を愛しているようで、毎週火曜日に無料で住人に配布されるBeacon Hill Timesと呼ばれる町内会新聞では、微笑ましい記事や写真が掲載されます。実はと言って隠す必要もないのですが、秋の大統領選挙で民主党代表のJohn F Kerry上院議員はBeacon Hill在住で、私たちの家からは徒歩で5分もかからない場所に住宅があります。Beacon Hill Timesでは警備が厳しくなり、ご迷惑をおかけしますとのコメントが載ったりして、投票権のない私も今回ばかりは選挙戦は人ごとではありません。なんてったって、ご近所様が大統領になる可能性があるのですから。


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り



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