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坂本美佐のボストン便り No.2「冬のあとには」

2004年4月11日 (日)

 ボストンの今年の寒さは本当に記録的でした。当初はここ数年で一番の寒さという報道だったのですが、寒さは日々前日を下回りとうとう最低気温は観測史上で3番目の寒さで、記録が約100年ぶりに塗り替えられたほどでした。しかし、この寒さも一区切りつき、この文章が皆さんの目に留まる頃には夏時間も始まり、少しは春らしくなっていることと思います。

世界初のエーテル麻酔手術に成功したことでMGHのエーテルドームは有名

世界初のエーテル麻酔手術に成功したことでMGHのエーテルドームは有名

 1998年4月から2000年3月まで最初のマサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital, MGH)在籍時当初も厳しい冬を越えるような忍耐の連続でした。でも、私以上に受け入れ側の輸血部スタッフの方がもっと忍耐強かったと思いますが。

 現場のトップであるChief TechnologistのAmyから「まずこれを理解しなさい」と言われ、標準作業手順書(Standard Operation Procedure, SOP)をAmyの部屋でひたすら日本語に訳し、輸血部での業務の流れを把握することから始まりました。

 3ヵ月ほど経った7月初旬にサーベイの検体があり、やって見ないか?と抗体同定を行ったのが米国で最初の検査でした。その翌日からは献血者(MGHでは輸血用血液を自施設で供給する機能も有しています)の不規則抗体スクーリングをやらせてもらえるようになり、さらに8月からはMGH輸血部にて供給したFFPの血液型ラベリングも行うようになりました。

 ラベル後には血液型と製剤番号の読み合わせがあり、数字やアルファベットだけなので一見は単純そうですが、ヒアリングや桁数の多い数字の読み上げには慣れるまで苦労し、読み合わせ相手になってくれた人たちもよく耐えてくれたと思います。そうこうする間に院内供給血だけでなく、American Red Crossからの購入製剤の登録、赤血球製剤の血液型確認もやらせてもらえるようになり、徐々にではありますが溶け込んでいったようです。

 11月頃にSupervisorのJanetからProcessing Labの仕事を覚えたい?と聞かれ、Yes!と返答したら、Kimberry(通称Kim)がTrainerになるので、彼女に教えてもらうようにとのこと。Kimにあいさつに行くと、「私は朝5時45分からの業務だけど、来られる?」と言われ、正直驚きました(輸血部は三交代制で24時間業務が行われているので、この時間帯からの勤務が一番早いシフトなのです)。もちろん翌日からはその時間に出勤をしましたが、当時はMGHから1時間弱離れた所に住んでいましたので、毎朝4時頃に起きる生活が始まったのでした。

 奨学生扱いで1年目は無給で過ごしましたが、1999年4月からはstaffとして給与が頂けるようになりました。毎年4月には国際臨床検査週間があり、MGH臨床検査部ではその時期に各種賞が授与され、不肖私も輸血部でのAchievement Awardをいただくことができました。

 ラウンジでAmyのスピーチが始まり、私の名前が呼ばれ賞状をもらえたので、給与がもらえるようになった証明書なのかな?と勘違いしそれほど大喜びしなかったのです。あまりに私が平静だったためか、周囲の皆が賞の意味を教えてくれ、事の意味を知り思わず涙が出てしまいました。英語でのコミュニケーションがままならない私でも業務が行えるようになったのも、最初にしっかり読んだSOPや新規雇用者への系統立った教育が確立しているからだったと思います。

 私の駄文を読んでいただきありがとうございます。次回の便りからは、今回の渡米(2003年11月)からの出来事を中心に書かせていただききます。


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り




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