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坂本美佐のボストン便り No.18「病院にベルマン」

2005年8月11日 (木)

旧ケベック市街にあるプチ・シャンブラン通り。北米で最古の繁華街と呼ばれ、古く小さな街並みに可愛いお店やレストラン等が密集しています。

旧ケベック市街にあるプチ・シャンブラン通り。北米で最古の繁華街と呼ばれ、古く小さな街並みに可愛いお店やレストラン等が密集しています。

 7月下旬にあった夫の学会発表に合わせて私は休暇を取り、久しぶりにカナダのケベックシティへ行って来ました。ケベックを訪れたのは今回で3回目ですが、いつ訪れても人々が親切な上にフレンチテイストの食事も美味しいので幸せな気持ちにさせてくれます。さて今回は、私の周囲で感じるセキュリティのことについてお伝えさせていただきます。

 アメリカのセキュリティチェックは9:11テロが影響しているのか、以前にいた頃と比較して日常生活だけでなく、職場においても厳格になった印象を受けます。例えばMGHでは午後8時以降は特定の玄関からのみ出入りが可能になり、IDバッジ所有者以外は運転免許証のような顔写真付き身分証明書の提示が求められます。

 日中でも建物によっては、登録されたIDバッジでなければエレベーターに乗っても希望階のボタンが押せず、目的地にたどり着けないことがあります。さらに各部署に入るためには各受付を通るか、施錠を解くためにIDバッジや鍵を有してないと、たとえ職員であっても他部署には自由に出入りできません。部署内に入ったとしてもIDバッジで電子ロックを解除しないと入れない部屋もあります。輸血部内でもそのような部屋があり、5分以上その部屋のドアが開いていると、セキュリティスタッフが駆け付けます。

 これらのセキュリティは不審者の侵入を防ぐ意味合いが強いですが、危機管理を行うセキュリティにも驚きます。一例を挙げますと、夫が休日に実験を行っていた際に低温室への出入りを数回行ったところ、ドアの異常かも知れないとの判断で、開閉後すぐにセキュリティスタッフがやってきたそうです。IDバッジを有していたので、「休日出勤ご苦労さま」と言われてことなきを得たそうですが、本人は多少焦ったようです。

 また、セキュリティと衛生面を兼ねてのことだと思いますが、患者さんが使用するトイレはほぼ2時間おきに清掃され、入り口には掃除した時間と担当者のサインが明記されています。トイレ内が汚れていたり、不審物が残されていた際の連絡先も記載されております。

 その他、いたる所にMGH Policeやセキュリティスタッフが巡回しているだけでなく、ボランティアと呼ばれるスタッフもおり、患者さんや見舞客などがキョロキョロしていると「May I help you?」と話しかけます。これらスタッフの協力は訪問者にとって助けになると同時に、挙動不審者の早期発見と言うセキュリティにも役立っています。

 MGH正面玄関や外来棟の入り口にはホテルでいうベルマンがいて、待機タクシーのコントロールや一般車の乗り入れの管理を行うとともに、患者さんの車への乗り降りの手助けや車椅子の介助なども行い、患者サービスにも貢献しています。ホテルやレストランで見かける、車から降りて鍵を渡すと車を駐車しておいてくれるバレットパーキングのサービスもあります。

 ふと、「日本の病院はどうだったっけ?」と考えますが、“浦島太郎”にならないよう、近いうちに一度帰国したいなと思う今日この頃です。


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り




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