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坂本美佐のボストン便り No.22「予期せぬこと」

2005年12月11日 (日)

 11月第4週の木曜日にある感謝祭が終わった途端に、テレビやラジオからはクリスマスの音楽が満ちあふれ、気分は一気に年末モードに入ります。日本で働いていたころは、年末と言えばボーナスというイメージがあり、支給される日が毎年分かっていただけに、その日が近づくのを楽しみにしていたことを思い出します。

向かって右側のガラス張りの建物が新外来棟。Boston Red SoxのオーナーであったYawkey氏より2500万ドル(約30億円)の寄付を受け、外来患者への利便性を考慮して建てられました。手前左側の歴史的建物は2007年にホテルとしてオープン予定で改装中のビル。

向かって右側のガラス張りの建物が新外来棟。Boston Red SoxのオーナーであったYawkey氏より2500万ドル(約30億円)の寄付を受け、外来患者への利便性を考慮して建てられました。手前左側の歴史的建物は2007年にホテルとしてオープン予定で改装中のビル。

 アメリカに来てから通算で5度目の冬を迎えましたが、日本のように支給が当初から予定されているボーナスをいただいた記憶はありません。その代わりでしょうか、年末になるとギフトカードなど何らかのギフトがいただけましたが、それは賞与という形ではありませんでした。

 ところが、今年は現金によるボーナスが支給されたのです。日本のように給与の数ヵ月分というような高額なものどころか、日本の感覚からすると「えっそれだけ?」というような額ですが、アメリカらしいといいますか、4つに区分されたなかでは職位や勤続年数に関係なく金額は同一でした。

 ボーナス支給の事前に、「今年度は職員皆のおかげで収入が多く、それを還元するためにボーナスを支給いたします」と、職員全員に電子メールで連絡があり、支給額の決め方も明記されておりました。その決め方とは、フルタイムとパートタイム職員にまず分けられ、さらに今年度の採用日によって二分されるという、全体で4つの区分でした。

 今年度に関しての賞与なので、年度途中で就職した場合は満額でないことも納得できますし、何よりパート職員にも支給されることが、職員全員の働きによるものという点で納得です。

 給与明細には通常の給与に加え、「Special bonus」と印刷され、正真正銘のボーナスでした。予期していなかっただけにうれしかったのですが、「ただし!」その税額にはガクッときてしまいました。約4割が税金として引かれていたのです。せめて給与と同じ税率だったら良かったのにと思いますが、こればかりは法律ですから仕方ありません。

 給与明細には理事長からの手紙が同封され、今年度が好決算に終わりそうであることが職員への謝辞と共に述べられておりました。

 成功した理由として、新外来棟と新研究棟の2つのプロジェクトが無事にオープンしたこと、インドネシアの津波被災者やアメリカ本土を襲ったハリケーンなどの自然災害にMGHスタッフが積極的に協力したこと、遺伝学的研究や幹細胞研究等に新たな情報を提供したことなどが挙げられ、最も大きかったのは職員が日々の職務を遂行してくれたことであると、締めくくられていました。

 ボーナスをいただけたことはもちろんうれしいのですが、ただ渡すのではなく手紙が添えられていたことで来年の励みになることを実感しました。

 同僚から「日本ではボーナスがあるの?」と質問されたので、「だいたい月給の数ヵ月分が年2回もらえるのよ」と答えると、眼を丸くして驚いていました。アメリカのように業績が良い年のみ出るのが「ホントの意味でのボーナスかも?」と思いましたが、やはり日本のように給与の数ヵ月分という高額のボーナスが羨ましいのが本音です。


 Medical Academy NEWSで好評連載中「坂本美佐のボストン便り」は、マサチューセッツ総合病院の臨床検査技師である坂本美佐さんからの「お便り」です。病院での仕事はもちろん、“フェンウェイ球場で起こるイチローへの大ブーイング”など、硬軟おりまぜた幅広い話題で楽しめますのでご覧ください。

坂本美佐氏 1988年藤田保健衛生大学卒。藤田保健衛生大学病院、愛知県赤十字血液センターなどで輸血検査に携わり、現マサチューセッツ総合病院輸血部。

連載 坂本美佐のボストン便り



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